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Thomas Test(トーマステスト)-方法・陽性基準とエビデンス-

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Thomas Test(トーマステスト)は股関節のスペシャルテストとして有名です。今回はこのテストの方法の再確認、そして陽性が何を意味しているのか、陽性基準に関するエビデンスをお伝えしてしていきたいと思います。

 

 

Thomas Test(トーマステスト)とは?

Thomas Test(トーマステスト)は股関節屈曲の柔軟性・拘縮と大腰筋症候群を評価するためのテストで、特に腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋の筋長検査になります。股関節の可動域の低下は膝蓋大腿関節痛、腰痛、関節炎、リウマチを引き起こす可能性が高くなると言われています*1*2*3。そのため実際の臨床ではよく用いられるテストの1つです。

ここで上記の筋の作用についておさらいしましょう。

腸腰筋:股関節屈曲・外旋

大腿直筋:股関節屈曲、膝関節伸展

大腿筋膜張筋:股関節屈曲・外転・内旋

 

 

方法

やり方

患者は背臥位となり、患者は両手を使って両下肢を抱え、両股関節・膝関節を屈曲させます。骨盤はしっかりと前弯後弯中間位〜後弯に持っていくところがポイントです。そのあと、健側の下肢をそのまま抱えたまま、患側の下肢をゆっくり降ろします。この時骨盤の前傾と腰椎の前彎が起きないように注意します。降ろしている股関節と膝関節の屈曲角度で腸腰筋などの短縮の程度を評価します。

※別法として健側の下肢を抱えてから背臥位になるという方法もあります。

 

陽性基準

健常な人の場合、骨盤の前傾がなく股関節が10°以上伸展、膝関節90°屈曲できます。もし患者が下肢を降ろした時に骨盤の前傾が生じるもしくは前傾が生じなくても股関節が10°以上伸展できない、膝関節80°以上屈曲できない場合陽性になります。また、これらの陽性の出方によってどの筋が短縮しているかを評価することができます。そのため、上記の陽性の症状が見られた場合、以下の方法にてどの筋がこのテストの陽性を引き起こしているのかを評価する必要があります。上記にあるそれぞれの筋の作用を参考に、どのように下肢を動かすとそれぞれの筋が伸長され、短縮の有無を評価できるのかを考える必要があります。

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膝関節を他動にて伸展させると股関節がより伸展できる:大腿直筋の短縮

→膝関節を伸展させることで腸腰筋の筋長は変わらないが、大腿直筋は緩むため

股関節を他動にて外転させると股関節がより伸展できる:大腿筋膜張筋もしくは腸脛靱帯の短縮

→股関節を外転させる事で腸腰筋と大腿直筋の筋長は変わらないが、大腿筋膜張筋は緩むため

上記以外:腸腰筋の短縮

 

 

エビデンス

トーマス研究の信頼性をテストする研究は非常に少ないのが現状です。論文によってばらつきが非常に大きく、このテストに関しては追加研究が必要であるというのが現状なようです。また、このテストの評価として数値化するために股関節と膝関節のROMを測定する方法があります。Peelerらは、股関節の範囲を評価するためのトーマステストの信頼性を調査する研究を実施しました。 しかし彼らの研究では、股関節に関するROMと腸腰筋の柔軟性を記録するためのゴニオメーターの使用に疑問を投げかけています*4

 

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参考文献

*1:Tyler, T. F., Nicholas, S. J., Mullaney, M. J., & McHugh, M. P. (2006). The role of hip muscle function in the treatment of patellofemoral pain syndrome. The American journal of sports medicine34(4), 630–636. https://doi.org/10.1177/0363546505281808

*2:Marrè-Brunenghi, G., Camoriano, R., Valle, M., & Boero, S. (2008). The psoas muscle as cause of low back pain in infantile cerebral palsy. Journal of orthopaedics and traumatology : official journal of the Italian Society of Orthopaedics and Traumatology9(1), 43–47. https://doi.org/10.1007/s10195-008-0104-5

*3:John Crawford Adams, David L. Hamblen (2001). Outline of orthopaedics; Churchill Livingstone, 13th edition.p459

*4:Peeler, J., & Anderson, J. E. (2007). Reliability of the Thomas test for assessing range of motion about the hip. Physical Therapy in Sport, 8(1), 14-21.