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スクワットと腰痛の関係・やり方・注意点・エビデンス

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スクワットはトレーニングをやったことのある方なら1度は試したことのある種目だと思います。そして、動きが難しいがゆえにしっかりとしたフォームでできていれば良いのですが、間違ったフォームで行うと体にさまざな悪影響を与えてしまいます。今回はその中でも腰痛に絞って、最新の知見では腰痛に対してスクワットがどのように行われて、どのような効果があるのかをお伝えしたいと思います。

 

 

  1. スクワット挙上時の腰椎屈曲の代償が腰痛を引き起こす可能性は低い
  2. スクワット自体は十分腰痛を改善する効果がある
  3. フリーウエイトは腰痛のリスクファクターの可能性は低い
  4. ストレッチは腰痛のリスクファクターになる

 

スクワットの方法

まずはスクワットの正しい方法についてお伝えしていきます。もちろんスクワットには色々なやり方がありますので、個人に合った方法をお探しであれば近くの専門のトレーナーさんに聞いてみてください。

①足を肩幅よりやや広めに開く

②つま先を30-45°外側に開く

③太ももが床と平行になるくらいを目安にしゃがむ

④しゃがむ際はつま先と同じ向きに膝が来るようにする

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これらはよく言われていると思いますし、ネットでもすぐに見つけられる基本情報だと思いますのでここでは細かく触れません。それでは上の図をみてください。特に腰痛を起こしてしまうような方に多いと言われているのが、深くしゃがみすぎてしまうことによる強い骨盤後傾です。現場ではこの姿勢では腰椎に負担がかかってしまうので左の状態でしゃがめることが推奨されていますが、科学的にはどうなのでしょうか。

 

 

スクワットのエビデンス

挙上時の腰椎屈曲の代償と腰痛の関係

上記にあるように、スクワットの最下点から挙上する瞬間のよくある典型的な代償として、腰椎の屈曲だと思います。まあ一般の方がみても腰を丸めているのを見ると負担かかりそうというイメージはあるのかもしれません。それでは実際にエビデンスレベルではどうなのかみていきましょう。

13本の論文を集めたメタ分析の論文*1では合計697名を対象に実験を行なっています。

方法

被験者を腰痛がない者とある者を対象に行い、マーカーを胸椎から仙骨にかけて各棘突起に添付し、スクワット時の腰椎の屈曲伸展角度を測定しました(論文によって測定の仕方は異なる)。挙上重量は最大で12kgです。

結果

平均値の差では腰痛のある群のほうが6.04°屈曲角度が大きい値が出ていますが、統計学的な有意差はみられませんでした

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まとめ

この論文から言えることはスクワットの挙上時の腰椎の屈曲角度はそこまで腰痛のリスクファクターの可能性は高いとは言えないがわかります。ただし、この論文の穴としては重量が軽すぎるということがあるので、重量を上げていった時の負荷や動作の代償がどうなっていくのかは不明瞭ではあります。

 

スクワットが腰痛に及ぼす影響

すごくシンプルな実験で、スクワットを行うことで腰痛がどう変わったかという論文*2です。

方法

腰痛持ちの男女計40名を対象に16週間のスクワットのトレーニングプログラムを行わせ、疼痛、障害の程度の評価をVAS、オスウェストリー障害インデックス(ODI)、Euro-Qol、アイソメトリック大腿中央牽引テスト(IMTP)、Biering Sorensenテスト(BS)で評価しました。プログラムは週に3回の頻度で行ないました。また同時にMRI撮影も行い、腰部の脂肪浸潤を測定しました。

結果

測定前と4週間後で比較すると、VAS、ODI、Euro-Qoiが有意に差がみられました。また、16週間との比較ではこれらに加えBSにおいても有意な差がみられました。

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まとめ

この論文の結果によってスクワットの腰痛を改善するという効果が示唆されました。ただし、どのようなメカニズムで腰痛が改善するのかは明記されていないので、全ての腰痛に当てはまるのかはまだ言えないでしょう。

 

ストレッチと筋トレの種類が腰痛に及ぼす影響

少し話は逸れますが、ストレッチとトレーニングの種類が腰痛に及ぼす影響*3を調べてみました。腰痛の患者でストレッチをよくするというのをよく聞くので、実際に効果があるのか知っておきたいところです。また、フリーウエイトとマシントレーニングがどのように異なるのかもこの論文では述べています。

方法

4610名(平均46.6±9.3歳)を対象に平均4.9年間に渡って実験を行いました。この被験者に体を柔らかくするための行なっている事をやっているか、やっていたとしたらストレッチか柔軟体操かヨガかその他なのか、トレーニングをやっているかやっているとしたらマシントレーニングかフリーウエイトトレーニングなのかを聞きました。

結果

体を柔らかくしている人は1631名(47.6±9.8歳)、していない人は2979名(46.0±9.1歳)で、トレーニングを行なっている人は1982名(46.6±9.6歳)、していない人は2628名(46.6±9.3歳)でした。590名が腰痛を訴え、腰痛が有無と行なっているストレッチとトレーニングのオッズ比を算出しました。ストレッチを行うと行わない群よりも約1.3倍腰痛のリスクが高まり、トレーニングにおいてはフリーウエイトに関しては腰痛のリスクに有意な差がなかったのに対し、マシンウエイトトレーニング群に関しては約1.4倍腰痛のリスクが高まることがわかりました(詳しくは下記参照)。

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まとめ

これらのことからストレッチとマシンのトレーニングは腰痛のリスクファクターとなることが示唆されます。ただ、マシントレーニングの方がトレーニング中の筋損傷などのリスクは下がるので、上手に使い分けが必要であると言えます。 また、ここで大事なのがフリーウエイトがリスクファクターになる可能性が低いということです。フリーウエイトということで、スクワットのみに絞った場合、腰痛を引き起こすファクターになりうるのか否か、追加研究が欲しいところです。

 

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参考文献

*1:Saraceni, N., Kent, P., Ng, L., Campbell, A., Straker, L., & O'Sullivan, P. (2020). To Flex or Not to Flex? Is There a Relationship Between Lumbar Spine Flexion During Lifting and Low Back Pain? A Systematic Review With Meta-analysis. The Journal of orthopaedic and sports physical therapy50(3), 121–130. https://doi.org/10.2519/jospt.2020.9218

*2:Welch, N., Moran, K., Antony, J., Richter, C., Marshall, B., Coyle, J., Falvey, E., & Franklyn-Miller, A. (2015). The effects of a free-weight-based resistance training intervention on pain, squat biomechanics and MRI-defined lumbar fat infiltration and functional cross-sectional area in those with chronic low back. BMJ open sport & exercise medicine1(1), e000050. https://doi.org/10.1136/bmjsem-2015-000050

*3:Sandler, R. D., Sui, X., Church, T. S., Fritz, S. L., Beattie, P. F., & Blair, S. N. (2014). Are flexibility and muscle-strengthening activities associated with a higher risk of developing low back pain?. Journal of science and medicine in sport17(4), 361–365. https://doi.org/10.1016/j.jsams.2013.07.016