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SLRテスト/ラセーグテスト -やり方・陽性基準・エビデンス-

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SLRテストは神経テストの1つで、このテスト1つで様々なことを評価することができます。その便利性がゆえにこのテストのやり方/方法、陽性基準、エビデンス、感度、特異度などの情報を整理する事が難しいです。そこで今回はSLRテストのやり方/方法と陽性基準、エビデンスを中心にお伝えし、ラセーグテストやブラガードテストといった細かいテストについても言及していこうと思います。

 

 

SLRテストとは

The Straight Leg Raise (SLR) test(SLRテスト)は神経の滑走と神経機能を評価する、神経症状誘発テストです。Lasegue's Test(ラセーグテスト)とも言われます。神経の滑走というのは神経組織の物理的な動きのことを言います。このテストでは神経に対する物理的ストレスの他に圧迫などのストレスの感度も評価します。これらの評価は重症度関係なく、問診、可動域の低下、その他身体的所見を元に椎間板ヘルニアの診断に用いられます。SLRテストは椎間板ヘルニアをはじめとする病態を示唆する神経組織の問題を評価します。下記に記載しますが、頸部の屈曲を含めたテストのことをHyndman's Sign(ヒンドマン徴候)とも呼ばれ、足関節背屈を含むテストはBragard's Test(ブラガードテスト)と呼ばれます。

 

 

方法

テストのやり方

このテストは他動にて行うテストです。患者は背臥位になり、検者は患者の踵骨を把持して他動にて一側の下肢を挙上していきます。この時に枕などを頭の下にしかないようにします。股関節は内転・内旋(もしくは中間位)、膝関節伸展位を保ちながら行います。患者が腰部や下肢背側のタイトネスや疼痛などの症状を訴えるまで挙上させます(ここまでがSLRテスト/ラセーグテスト)。その後、検者はゆっくり患者の症状が消えるところまでゆっくり下肢を降ろし、次に自動にて頸部の屈曲もしくは他動にて足関節の背屈を行います(頚椎屈曲:ヒンドマン徴候 足関節背屈:ブラガードテスト)。同時に行っても構いませんが、足関節の背屈(ブラガードテスト)の方が主流となっています。

ブラガードテストの変法として、足関節背屈に加え足関節の底背屈・内外反を加えることで、末梢のどの神経が問題なのかを評価することができます。

脛骨神経:足関節背屈・外反

腓腹神経:足関節背屈・内反

総腓骨神経:足関節底屈・内反

 

陽性基準 

もし腰痛が主な症状の場合、髄核の突出によって脊髄を圧迫しているもしくは神経を圧迫している病態がより中枢にある可能性が高いです。髄核の突出があり、腰痛のみを訴える場合は少なく、より中央部での突出になります(神経根には触れていない)。もし下肢の疼痛が主な症状な場合、より外側への圧迫(神経根など)の可能性が高いです。

細かく見ると、SLRの角度によって疑われる疾患が異なります。

SLRの角度が30°-70°の間で神経的疼痛が下肢や腰部に現れた場合、L4-S1の神経根のヘルニアが疑われます

疼痛がSLR30°以下で見られた場合、急性腰椎分離症、殿部の膿瘍・腫瘍、髄核突出、急性硬膜炎などの可能性があります。

SLR70°以上で症状が見られた場合、ハムストリングス・臀筋群・股関節関節包のタイトネスもしくは仙腸関節の問題が疑われます。

また、頸部屈曲と足関節背屈で症状が強くなるようであれば、硬膜の伸長負荷もしくは脊髄病変(椎間板ヘルニア、腫瘍、脊髄炎)を疑います。

頸部屈曲で症状が悪化せず、足関節背屈で症状が強くなるのであればハムストリングスの問題か腰仙部・仙腸関節部の問題を疑います。

 

 

エビデンス

SLRテストに関するエビデンスは数多く出されていますが、性別や、年齢、体系などによって結果が変わってしまうと言われています*1。また、ハムストリングスのタイトネスが偽陽性生じさせる可能性を否定できないという報告*2もあり、SLRテストの実施条件は限られてくるかもしれません。感度・特異度のに関するエビデンスですが、2008年のメタ分析では椎間板ヘルニアの方を対象に実験を行い、下記の数値が示されています。下記の特異度にはばらつきが多く、上記で説明したようにSLRテストの条件が限られてくることから椎間板ヘルニアを除外(rule out)することはできても確定(rule in)はSLRテスト/ラセーグテストでは難しいかもしれません。ちなみに画像撮影を用いた診断の感度・特異度(下記に記載)はSLRテストと異なり、特異度が高いことからこの論文ではSLRテスト/ラセーグテストと画像を組み合わせることを推奨していますが、組み合わせた時の感度・特異度を研究している論文が少ないのが現状です。

SLRテスト/ラセーグテスト

感度:92%

特異度:10-100%

画像撮影

感度:28%

特異度:90%*3

 

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参考文献

*1:Boyd, B. S., & Villa, P. S. (2012). Normal inter-limb differences during the straight leg raise neurodynamic test: a cross sectional study. BMC musculoskeletal disorders13, 245. https://doi.org/10.1186/1471-2474-13-245

*2:Scaia, V., Baxter, D., & Cook, C. (2012). The pain provocation-based straight leg raise test for diagnosis of lumbar disc herniation, lumbar radiculopathy, and/or sciatica: a systematic review of clinical utility. Journal of back and musculoskeletal rehabilitation25(4), 215–223. https://doi.org/10.3233/BMR-2012-0339

*3:van der Windt, D. A., Simons, E., Riphagen, I. I., Ammendolia, C., Verhagen, A. P., Laslett, M., Devillé, W., Deyo, R. A., Bouter, L. M., de Vet, H. C., & Aertgeerts, B. (2010). Physical examination for lumbar radiculopathy due to disc herniation in patients with low-back pain. The Cochrane database of systematic reviews, (2), CD007431. https://doi.org/10.1002/14651858.CD007431.pub2