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肩のインナーマッスルトレーニング 本当に効果あるの? -エビデンスの観点から-

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肩のインナーマッスルレーニングはオーバーヘッドスポーツを中心に多くの方が行なっていいます。トレーニングのやり方に関してはネット上にもたくさんあり、自分で勉強されて行なっている人もいるのではないでしょうか?しかし、肩のインナーマッスルレーニングは本当に効果的なのでしょうか?今回はエビデンスの観点から肩のインナーマッスルレーニングの効果についてお伝えしたいと思います。

 

 

  1. 肩の怪我予防の効果についてはまだ不明瞭
  2. リハビリにおけるインナーマッスルレーニングは有効
  3. オーバーヘッド種目におけるパフォーマンスに機序する可能性あり
  4. ウォーミングアップとして取り入れるのは効果あり

 

筋の機能について

まずは各筋肉の機能についておさらいしましょう。起始と停止は省略します。

解剖学の記事ではないので、あくまでトレーニングの工夫を説明するための最低限の機能しか記載しておりません。

棘下筋

機能:肩関節外旋、上腕骨頭の安定化、肩関節外転(上部線維)、肩関節内転(下部線維)

棘上筋

機能:肩関節外転、上腕骨頭の安定化(特にセカンドポジションでの肩関節外旋時)

肩甲下筋

機能:肩関節内旋、上腕骨頭の安定化

小円筋

機能:肩関節外旋、上腕骨頭の安定化、肩関節の内旋(肩関節160°以上外転位)

三角筋

機能:肩関節外転、肩関節屈曲・水平屈曲・内旋(前部線維)、肩関節伸展・水平伸展・外旋(後部線維)

大胸筋

機能:肩関節屈曲・内転・内旋・水平屈曲

 

 

肩のインナーマッスルレーニングのエビデンス

インナーマッスルレーニングの怪我の予防効果

肩のインナーマッスルレーニングを行なっている人は怪我の予防を目的にしている人が多いと思います。Annら(2015)は肩の怪我の予防に肩のインナーマッスルの強化は必要と言っています*1。しかし、理論上は予防が可能という見方が有力ですが、実際にどのくらい予防ができるのかは不明瞭という報告もあります*2。また、いわゆる肩のインナーマッスルレーニングよりもClosed Kinetic Chain(CKC)でのトレーニングの方が肩のインナーマッスルの強化に効率が良く、チューブなどを用いるインナーマッスルインナーマッスルが弱いときにのみ有効と報告しています*3

 

リハビリでのインナーマッスルレーニン

Open kinetic chain(OKC)、Closed kinetic chain(CKC)、可動域エクササイズ(ROM)の3種類を比較した研究*4では、120名の3ヶ月以上肩の痛みを訴える(腱障害)患者を対象に、上記の3種類のトレーニングを行わせました。すると、レーニングの種類間での差はみられず、3種類ともに疼痛が有意に減少していました

 

 

肩のインナーマッスルがスポーツのパフォーマンスへの影響

Bartlettら*5は肩のインナーマッスルの強化がスポーツ、特にオーバーヘッドスポーツでのパフォーマンスに機序すると報告しています。しかし、それ以外の目立った報告もなく、数が少ないため、あまり強く言えるようなエビデンスではなさそうです。ただ、ウォーミングアップという観点では、ゴルフ選手を対象にした研究で、肩のインナーマッスルレーニングをすることによってパフォーマンスが上がったという報告*6もあり、試合や練習直前の刺激として行うのは1つの方法かもしれません。

 

 

まとめ

肩のインナーマッスルには怪我のリハビリでの有効性など特定の場面での効果は示されていますが、それ以外の場合は特に強いエビデンスも無いというのが現状だそうです。ただ、個人的にはウォーミングアップとして取り入れたり、個々で効果を試していって良い反応があれば取り入れるのは良いと思います。

 

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参考文献

*1:Cools, A. M., Johansson, F. R., Borms, D., & Maenhout, A. (2015). Prevention of shoulder injuries in overhead athletes: a science-based approach. Brazilian journal of physical therapy19(5), 331–339. https://doi.org/10.1590/bjpt-rbf.2014.0109

*2:Lewis J. (2016). Rotator cuff related shoulder pain: Assessment, management and uncertainties. Manual therapy23, 57–68. https://doi.org/10.1016/j.math.2016.03.009

*3:Giannakopoulos, K., Beneka, A., Malliou, P., & Godolias, G. (2004). Isolated vs. complex exercise in strengthening the rotator cuff muscle group. Journal of strength and conditioning research18(1), 144–148. https://doi.org/10.1519/1533-4287(2004)018<0144:ivceis>2.0.co;2

*4:Heron, S. R., Woby, S. R., & Thompson, D. P. (2017). Comparison of three types of exercise in the treatment of rotator cuff tendinopathy/shoulder impingement syndrome: A randomized controlled trial. Physiotherapy103(2), 167–173. https://doi.org/10.1016/j.physio.2016.09.001

*5:R Bartlett, M Bussey.(2013). Sports biomechanics: reducing injury risk and improving sports performance; Routledge

*6:Tilley, N. R., & Macfarlane, A. (2012). Effects of different warm-up programs on golf performance in elite male golfers. International journal of sports physical therapy7(4), 388–395.