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Ottawa Ankle Rules(オタワ足関節ルール) -陽性基準とエビデンス・感度・特異度-

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近年スポーツ現場でよく用いられているOttawa Ankle Rules(オタワ足関節ルール/オタワアンクルルール)。使い方がわかっている人は多いですが、実際のエビデンスをしっかり理解している人は少ないのではないでしょうか。そこで今回はオタワ足関節ルール/オタワアンクルルールの判断基準とエビデンスをお伝えしていきたいと思います。

 

 

Ottawa Ankle Rules(オタワ足関節ルール/オタワアンクルルール)とは?

オタワ足関節ルールとは足関節を受傷し、骨折の疑いがあった時に行うスクリーニング検査で、レントゲン撮影が必要かどうかを判断する時に用います。

実際問題、全ての患者さんのレントゲンを撮るのは時間的にも経済的にも実用的ではないため、迅速かつ正確にでき、不要な画像撮影を回避するために開発されました。

実際に以前、医師はすべての足首の怪我についてX線写真を注文していましたが、臨床的に重大な骨折があるのは15%未満であり、医療費が増加したという報告があります*1。特に欧米の一部の国では画像撮影にかかる費用も高く、念のために病院に行って画像を撮るということが頻繁にできない環境であるため、このテストは重要視されています。また、PTの開業権が認められている国では、捻挫などで来院した患者さんのスクリーニングでも用いるので、スポーツ現場だけとは限りません。

 

方法

やり方

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http://www.ohri.ca/emerg/cdr/docs/cdr_ankle_poster.pdfより引用

オタワ足関節ルール/オタワアンクルルールは以下の5項目(上図を参照)によって構成されています。

  1. 脛骨後面で、内果から6cmまでの部位での圧痛
  2. 腓骨後面で、外果から6cmまでの部位での圧痛
  3. 第5中足骨底の圧痛
  4. 舟状骨の圧痛
  5. 受傷直後荷重して4歩以上歩けるか

陽性基準

陽性基準ですが、上記の5項目のうちどれか1つも当てはまる場合、陽性となります。

元々のオリジナルの方法としては足関節(距腿関節)と足部に分けて考えます。

足関節に関しては、果部の部分の疼痛、上記の1,2,5番のどれか1つでも当てはまれば陽性、足関節のレントゲン撮影を行う必要があり、足部に関しては、足部中央部(上記の図参照)の疼痛、上記の3-5番のどれかに当てはまれば陽性、足部のレントゲン撮影を行う必要があります。

ただし、このテストが開発された国ではPTがレントゲン撮影を行うため、それを見越してのテストとなります。そのため、PTがレントゲン撮影をしない国では、5項目まとめて考えるのが現実的だと思います。つまり、日本で実際に用いる場合、最初に説明したように5項目のうち1つでも当てはまれば陽性なので、病院に送り画像撮影をお願いするという流れが1番実用的な流れかと思います。

 

エビデンス

感度・特異度

オタワ足関節ルール/オタワアンクルルールの最も重要なエビデンスについてですが、下記のように特異度が低いので、陽性だからと言って骨折の可能性が高い訳ではありません。反対に感度が高く、LR−が低いので、陰性になった時の骨折の確率が極めて低いので、無駄なレントゲン撮影を省くことができるというのがこのテストの最大の特徴です、なので、このテストは骨折かどうかを判断するというより、明らかに骨折していない人を抽出して必要以上に病院に送る(画像撮影)手間を省くために用いられることが多いです。

このテストのデータ数は若年者の方が少ないですが、多くの論文では基本的に若年者(6歳以上)にも用いるように推奨されています*2

感度:96.4-99.6%

特異度:26.3-47.9%

LR−:0.08*3

感度・特異度に関してはこちら

dog.training-univ.com

推奨基準

推奨レベルではありますが、以下の3つの条件下・方法ではオタワ足関節ルール/オタワアンクルルールの正確性が増すという報告があります*4

後方だけでなく脛骨・腓骨全体圧痛を確認する(下から6cmは同じ)

内果の圧痛の有無

患者は18歳以上

 

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参考文献

*1:Brooks, S. C., Potter, B. T., & Rainey, J. B. (1981). Inversion injuries of the ankle: clinical assessment and radiographic review. British medical journal (Clinical research ed.)282(6264), 607–608. https://doi.org/10.1136/bmj.282.6264.607

*2:Dowling, S., Spooner, C. H., Liang, Y., Dryden, D. M., Friesen, C., Klassen, T. P., & Wright, R. B. (2009). Accuracy of Ottawa Ankle Rules to exclude fractures of the ankle and midfoot in children: a meta-analysis. Academic emergency medicine : official journal of the Society for Academic Emergency Medicine16(4), 277–287. https://doi.org/10.1111/j.1553-2712.2008.00333.x

*3:Bachmann, L. M., Kolb, E., Koller, M. T., Steurer, J., & ter Riet, G. (2003). Accuracy of Ottawa ankle rules to exclude fractures of the ankle and mid-foot: systematic review. BMJ (Clinical research ed.)326(7386), 417. https://doi.org/10.1136/bmj.326.7386.417

*4:Stiell, I. G., McKnight, R. D., Greenberg, G. H., McDowell, I., Nair, R. C., Wells, G. A., Johns, C., & Worthington, J. R. (1994). Implementation of the Ottawa ankle rules. JAMA271(11), 827–832.