二刀流トレーナーの海外医科学図書館

二刀流【メディカル(診断・治療・リハビリ)とストレングス(トレーニング・栄養)】に渡るジェネラリストへ

エビデンスに基づく半月板損傷のためのスペシャルテスト -スポーツ現場でどう評価するか-

f:id:dogknt:20200806193930j:plain

半月板損傷はスポーツ現場でよく見かける怪我の一つですが、スポーツ現場で判断するのが難しい外傷の一つです。スペシャルテスト1つをとっても感度、特異度が高いテストはなく、現場のトレーナーの方々も苦労しているのではないでしょうか。そこで今回はその鑑別診断の確率を上げるためのテストをまとめて見ました。

 

 

半月板損傷とは

半月板は大腿骨と脛骨の間にある組織で、荷重などによる圧力を吸収する役割があります。半月板損傷は女性よりも男性に多く、男性の方がバケット状に損傷する割合が多いです。また、20-48歳に多く見られ、10歳以下の子供に見られることは稀です*1

半月板は内側と外側に分かれており、内側半月板はC型の形をとり、MCLとつながっています。外側半月板はO型の形で、anterior/posterior meniscofemoral ligament(半月板と大腿骨をつなぐ靭帯)を通して大腿骨と連結しています。両側とも抹消10-25%は血管が通っているので、保存療法でも回復はしますが、中央部で損傷した場合は基本的に回復はしません。

 

半月板損傷のリスクファクター

リスクファクターとして、 男性、体重増加、急激な運動量増加、下肢の筋力低下、組織の奇形などが挙げられます。また、変形性膝関節症などがあると、損傷する確率も上がります*2

 

スペシャルテスト

半月板の評価にはスペシャルテストが欠かせません。ただし、半月板のスペシャルテストの感度と特異度はそこまで高くないので、これらのスペシャルテストに加え、下記の臨床症状も加えて評価する方が望ましいでしょう。

 

McMarray test

1つ目のスペシャルテストはMcMarrayテストです。

やり方:

背臥位にて行います。下腿の回旋と膝関節の屈伸を組み合わせ半月板にストレスをかけます。

内旋・内反:外側半月板 ※外側半月板の評価として内旋・外反と言う人もいます

外旋・外反:内側半月板 ※内側半月板の評価として外旋・内反と言う人もいます

感度:70%

特異度:71%*3

 

McMarrayテストの詳細はこちらです。
dog.training-univ.com

 

Apley Grind test

続いてのテストはApley Grindテストです。

f:id:dogknt:20200903235030j:plain

やり方:

腹臥位にて行います。下腿の回旋と圧迫を加えることで半月板にストレスを加えます。その後、回旋と牽引を加え、圧迫のときに疼痛があり、牽引の時に疼痛が軽減されれば陽性になります。

感度:60%

特異度:70%*4

 

Thessaly test

最後のテストはThessalyテストです。

やり方:

片側立位の姿勢をとります。患者は左右に回旋して膝に回旋力をかけます。これはバランスのテストではないので、患者の手をとって支えても構いません。

 

これは個人的な経験から来るものですが、膝の内外反ストレステストを行った際、圧迫されている側に疼痛がある場合があります。例えば、外側半月板を損傷している場合は外反ストレステストをすると、外側に疼痛を訴える場合があります。

 

 

半月板損傷の臨床初見

これはテストではないですが、半月板を損傷した場合によく見られる臨床所見ですので、スペシャルテストと併用して鑑別診断に役立てたいものです。

・関節裂隙(半月板)に疼痛、圧痛もしくは違和感がある。

・可動域制限、前方半月板損傷→完全伸展制限、後方半月板損傷→完全屈曲制限

・荷重不可もしくは疼痛回避するような歩容に影響する

・ロッキングが見られる

 

 

半月板損傷に似た疾患との鑑別

半月板を損傷した時に見られるような症状があり、半月板損傷と識別する必要がある疾患です。

meniscocapsular separation(半月板と関節包の分離)

外側半月板と膝関節の関節包は連結しているのですが、その部分が剥がれて(もしくは断裂)してしまい、半月板が不安定になってしまう状態です。そのため、半月板が正しい位置にない時はロッキングのような症状が出たり、上記のスペシャルテストなどが陽性になったりします。ただ、半月板自体は損傷していないので、半月板の圧痛などはありません。また、疼痛の場所も半月板の位置ではなく、関節包の範囲に起こる場合があります(例えば腓骨頭のあたりなど)。その点が通常の半月板損傷と異なるところでしょう。また、受傷時の疼痛は大きく、全く荷重できない人もいます。

 

 

ツイッターもやっているので、ぜひ交流しましょう!

 

参考文献

*1:Hede, A., Jensen, D. B., Blyme, P., & Sonne-Holm, S. (1990). Epidemiology of meniscal lesions in the knee. 1,215 open operations in Copenhagen 1982-84. Acta orthopaedica Scandinavica, 61(5), 435–437. https://doi.org/10.3109/17453679008993557

*2:Goossens, P., Keijsers, E., van Geenen, R. J., Zijta, A., van den Broek, M., Verhagen, A. P., & Scholten-Peeters, G. G. (2015). Validity of the Thessaly test in evaluating meniscal tears compared with arthroscopy: a diagnostic accuracy study. The Journal of orthopaedic and sports physical therapy, 45(1), 18–B1. https://doi.org/10.2519/jospt.2015.5215

*3:Hegedus, E. J., Cook, C., Hasselblad, V., Goode, A., & McCrory, D. C. (2007). Physical examination tests for assessing a torn meniscus in the knee: a systematic review with meta-analysis. The Journal of orthopaedic and sports physical therapy, 37(9), 541–550. https://doi.org/10.2519/jospt.2007.2560

*4:Hegedus, E. J., Cook, C., Hasselblad, V., Goode, A., & McCrory, D. C. (2007). Physical examination tests for assessing a torn meniscus in the knee: a systematic review with meta-analysis. The Journal of orthopaedic and sports physical therapy, 37(9), 541–550. https://doi.org/10.2519/jospt.2007.2560