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マラソン選手が筋トレすると持久力が落ちる?

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近年健康志向が高まっている影響か、マラソンが流行っています。皇居の周りにも多くの人が走っていた記憶があります。ランナーの方の中でラントレ以外に筋トレを行なっている人はどれくらいいるでしょうか?アスリートの方でも筋トレのやり方がわからない人もいるのではないでしょうか?そこで今回は長距離種目であるマラソン選手における筋トレの効果を調べてみました。

 

 

  1. 筋トレを組み合わせることで、筋肥大が起き、筋力が向上した。
  2. 筋肥大、筋力の向上によって持久力パフォーマンスが向上した
  3. 筋トレによる持久力への悪影響はなかった
  4. ただし行う場合は高負荷で行うことが望ましい

 

ラソン選手に必要な能力と筋トレ

ラソン選手は42.195kmというとても長い距離を走り続ける持久力が必要です。また体重のコントロールも難しく、体重を重くすることはマラソン選手にとっては避けたいところです。そして持久力トレーニングをすることで、持久力が向上するだけでなく、体重も必然と落ちてしまいがちです。一方、筋トレは反対に筋肉を肥大させることで筋力やパワーの向上を狙うために行われ、当然体重も増加します。一見筋トレで体重を増やすことはマラソン選手にとってマイナスになりそうなイメージですが、マラソン選手も自分の体重を支える筋肉を鍛えることはパフォーマンスに繋がるはずです。ですがこの相反する特徴をもつ筋トレと持久力トレーニングを両立させることは可能なのでしょうか?

 

ラソン選手に対する筋トレのエビデンス

レジスタンストレーニング(筋トレ)の持久力に対する効果

レジスタンストレーニングの持久力に対する効果を調査した研究*1によると長距離選手に対する有効性が示されています。

方法

トップアスリートを対象に持久力トレーニングのみを行なった群(E)とレジスタンストレーニングを組み合わせた群(SE)に分け、15分未満の短時間の持久力と30-180分の長時間の持久力と最大筋力(MVC)、筋出力の立ち上がり(RFD)、各筋線維(Ⅰ、ⅡA、ⅡB)の筋量をpreとpostで測定しました。

結果

レジスタンストレーニングと組み合わせることによって、短時間、長時間ともに持久力向上、MVCとRFDの増加、ⅡA線維の量が増加がみられました。

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まとめ

ⅡAの線維量が向上していることから、筋力が向上したことがわかります。レジスタンストレーニングを組み合わせることで持久力が向上したのは、筋力が増加することで、走りの効率性が上がったのではないかと筆者は述べております。さらに筆者はこれらの結果より、筋トレを加えるのであれば高重量で行うことが望ましいとしています。

 

レジスタンストレーニングが持久力パフォーマンストレーニングに及ぼす影響

レジスタンストレーニングが筋力を向上させるのは上記によってわかったと思います。そこでこの論文では持久力パフォーマンスにどのように影響するかをまとめたメタ分析になっています*2

方法

持久系アスリート(マラソン選手、クロスカントリー選手、サイクリング選手)を対象に5週間以上の筋トレ(自重トレーニング、マシントレーニング、フリーウエイトトレーニング)を約8週間行わせ、3kmのタイムトライアル、トレッドミルにて最大酸素摂取量(VO2Max)による走動作の持久効率の測定をトレーニングのpreとpostで測定しました。

結果

ラソン選手において、レジスタンストレーニングによって3kmのタイムトライアルのタイムとVO2Maxの向上がみられました。

まとめ

レジスタンストレーニングによって持久力が向上した理由として筋トレによる神経・筋系の向上であると述べています。具体的に言うと、運動神経における運動単位の動員増加、腱組織の強化、動きのコーディネーショントレーニング能力の向上などをあげています。

 

レジスタンストレーニングがマラソン選手のスプリント能力に及ぼす影響

実際に筋トレがマラソン選手のスプリント能力に影響するのかをまとめた論文です*3

方法

27名の男性アスリートを対象に、レジスタンストレーニング群、爆発的トレーニング群、持久力トレーニング群に分けました(全員ベースの持久力トレーニングに加えてこれらのトレーニングを行なっています)。6週間の予備トレーニング期間のあと、8週間のトレーニング介入を行いました。この介入の前後で最大筋力(1RM)、筋電図(EMG)、垂直跳び、最大走速度、 最大酸素摂取量(VO2Max)を測定しました。

結果

1RMはレジスタンストレーニング群・爆発的トレーニング群と持久力トレーニング群と比較して有意に高値を示しました。レジスタンストレーニング群のみ最大走速度の有意な向上がみられました。VO2Maxは全ての群にて有意な向上がみられました。

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まとめ

レジスタンストレーニングと持久力トレーニングを並行して取り組んでも持久力に影響せずに最大筋力を向上させることが示されました。

 

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参考文献

*1:Aagaard, P., & Andersen, J. L. (2010). Effects of strength training on endurance capacity in top-level endurance athletes. Scandinavian journal of medicine & science in sports20 Suppl 2, 39–47. https://doi.org/10.1111/j.1600-0838.2010.01197.x

*2:Beattie, K., Kenny, I. C., Lyons, M., & Carson, B. P. (2014). The effect of strength training on performance in endurance athletes. Sports medicine (Auckland, N.Z.)44(6), 845–865. https://doi.org/10.1007/s40279-014-0157-y

*3:Mikkola, J., Vesterinen, V., Taipale, R., Capostagno, B., Häkkinen, K., & Nummela, A. (2011). Effect of resistance training regimens on treadmill running and neuromuscular performance in recreational endurance runners. Journal of sports sciences29(13), 1359–1371. https://doi.org/10.1080/02640414.2011.589467