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腰痛に対する針治療の効果 -エビデンスの観点から-

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腰痛の治療として様々な方法がありますが、腰痛持ちの方が針治療を受けることは少なくないと思います。海外でも、経験的に効果はあるということで針治療を利用する人が増えています。患者からしたらエビデンスの有無は関係ありませんが、私たち臨床家としてはエビデンスは知っておくべきです。今回はエビデンスの観点から針治療が腰痛に対する効果についてまとめてみたいと思います。

 

 

  1. 急性の非特異性腰痛に対しての針治療の即時的な効果はなかった
  2. 慢性の腰痛に対しての針治療の効果はみられ、薬の代用の可能性も
  3. 妊婦の腰痛に対する針治療の効果もみられた

針治療とは

針治療とは鍼灸と言われる東洋医学に基づく治療の1つで、髪の毛ほどの細さの針を用いて治療します。対象になる疾患としては腰痛をはじめとする整形外科疾患、精神疾患、アレルギー疾患、内科系疾患から、美容やスポーツの現場でも使われ始めています。

 

針治療の腰痛に対するエビデンス

急性の非特異性腰痛に対する針治療の効果

まずは急性の腰痛に対する針治療の効果です。ギックリ腰などが代表例になります。Hasegawaらは急性の非特異性腰痛に対する効果を検証しました*1

方法

80名の急性の非特異性腰痛患者を鍼灸治療を行なった群40名、ダミー鍼灸群40名にわけ、疼痛の程度を疼痛アナログスケール(VAS)にて評価しました。評価したのは治療前、治療後3、7、14、21、28日後に評価をしました。針は0.20×13mmを用いました。経穴は以下の通りです。

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*1の論文より引用
結果

治療後14、21、28日後において、鍼灸群とダミー鍼灸群との間に有意な差がみられました。

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まとめ

ここで面白いのが、急性腰痛に対して治療直後には効果がみられなかったことです。有意な差がみられたのは治療後14日以降になります。そのため、針治療の緊急の対処療法としての効果は期待できなさそうです。

 

慢性の非特異性腰痛に対する針治療の効果

続いて慢性の腰痛に対する針治療の効果についての論文です*2

方法

32本の論文をまとめたメタ分析になります。これらの論文では通常の鍼灸、ダミー鍼灸、薬(NSAIDsなど)による治療を比較しています。

結果

鍼灸による治療はダミー鍼灸と比較して疼痛が有意に改善しました。また薬による治療と比較しても有意な差がみられました。

まとめ

鍼灸治療に効果的な結果がみられたことから、針治療が慢性腰痛に有効であることが示唆されました。また、鍼灸による治療と薬による治療の間には有意な差がみられましたが、差は小さく臨床に影響するほどの差かは微妙なところだと筆者は言っています。ただ、薬の方が副作用が大きいので、針治療は薬の代用ができるという意味では大きな役割だと個人的には思います。

 

妊娠中の腰痛に対する針治療の効果

腰痛の要因として妊娠が挙げられます。胎児への影響もあり、他の方の治療法とは異なる場合がある妊婦ですが、針治療の場合はどうなのか調べてみました*3

方法

妊娠14-37週の180名の妊婦(20-29歳)を対象にThe McGrill質問紙にて疼痛の程度を測定しました。除外基準は精神障害聴覚障害産婦人科の病気になります。鍼灸の治療は各6回行われ、その都度その質問紙にて疼痛の程度を評価しました。用いた経穴は承山、委中、腎兪、百曾、昆侖になります。

結果

疼痛の程度において、治療前と2・4・6回目の治療間、2回目の治療と4・6回目の治療間、4回目の治療と6回目の治療間で有意な差がみられました。

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*3論文より引用
まとめ

針治療の妊婦の腰痛に対する効果が示唆されました。そしてこの研究では2回目の治療から効果が出ているので、回数としてもそこまで多くなく疼痛を改善できる可能性があると言えるでしょう。

 

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参考文献

*1:Hasegawa, T. M., Baptista, A. S., de Souza, M. C., Yoshizumi, A. M., & Natour, J. (2014). Acupuncture for acute non-specific low back pain: a randomised, controlled, double-blind, placebo trial. Acupuncture in medicine : journal of the British Medical Acupuncture Society32(2), 109–115. https://doi.org/10.1136/acupmed-2013-010333

*2:Lam, M., Galvin, R., & Curry, P. (2013). Effectiveness of acupuncture for nonspecific chronic low back pain: a systematic review and meta-analysis. Spine38(24), 2124–2138. https://doi.org/10.1097/01.brs.0000435025.65564.b7

*3:Martins, E. S., Tavares, T., Lessa, P., Aquino, P. S., Castro, R., & Pinheiro, A. (2018). Acupuncture treatment: multidimensional assessment of low back pain in pregnant women. Tratamento com acupuntura: avaliação multidimensional da dor lombar em gestantes. Revista da Escola de Enfermagem da U S P52, e03323. https://doi.org/10.1590/S1980-220X2017040303323