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ケトン体ダイエットでの糖質制限・ケトーシスと体質の見分け方

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近年、ケトン体ダイエットや糖質制限という言葉が流行し、ダイエットをしたことがある方は1度は試したことがあるのではないのでしょうか?ただし、糖質制限という言葉が一人歩きをしてしまい、糖質をひたすら制限すれば良いという考えが蔓延しているようにも感じます。そしてしっかりとケトン体ダイエットになっていない方も多いと感じています。そこで今回はケトン体ダイエットの理論から実践までの流れをお伝えしていきたいと思います。

 

 

理論編

ケトン体ダイエットとは

ケトン体ダイエットとは、主にケトン体をエネルギー源にするダイエット方法であり、ケトジェニックダイエットとも言われています。いわゆる糖質制限の1つに分類され、糖質の摂取を制限してダイエットを行います。

 

ケトーシス

ケトーシスは高強度運動、高脂肪食、糖尿病などの病気などによって体内のアセチルCoAが過剰に増えてしまい、その結果尿中にケトン体が含まれてしまうことを言います。アセチルCoAが増えすぎるとクエン酸回路だけで回すことができないので、アセトンというケトン体に最終的に変換されてしまい、このケトン体によって体がアシドーシスになってしまいます。このケトン体がエネルギー源になるケトン体ダイエットでは、文字通りケトーシスになることが前提条件になります。

アセチルCoAについてはこちら

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それではどうしたらケトーシスになるのか?まずはケトン体の元となる脂質を十分に摂取するということ、そして、体内の糖質を減らすことが鍵となります。具体的に摂取する栄養素の割合は炭水化物:タンパク質:脂質を1:3:6になるように調節します(通常は5:3:2)。その人の1日の摂取カロリーによりますが、糖質は1日に30-40gであるとケトーシスになることは可能です。この時に摂取カロリーは一定になるようにしましょう。摂取カロリーを減らしてしまうと、減らした時は体重が減るのですが、体がその摂取カロリーに合わせて代謝が低下してしまい、すぐに減量がしにくくなるだけでなく、痩せにくくなる体質になってしまうため、長期的に見るとオススメしません。

糖質を制限する理由ですが、体内に糖質が十分にあると糖質が優先的に代謝されてしまい、ケトーシスの状態になれません。糖をエネルギー源にしているため、ケトン体が不要だからです。また脂質が不足している状態だと、脂肪酸からのケトン体への変換が促進されず、ケトン体の産生量が不足し、ケトーシスになれません。これらの状態だと糖新生が行われてしまうため、ケトーシスになれないだけでなく、筋肉を分解が促進してしまうことも問題になります。

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糖新生を起こさせない

ケトン体ダイエットのよくある失敗例ですが、上記のような理由で糖新生が起きてしまっているという状態です。糖新生が起きてしまうと、糖新生のため(厳密にいうとオキサロ酢酸の作成のため)にクエン酸回路が回されてしまうことで糖を産生でき、エネルギー源が満たされてしまうので、ケトン体の産生が制限されるからです。 

 

実践編

レーニン

体内の糖質を減らす初日

レーニングで最も大事なのは初日です。理論のところでも説明しましたが、体内の糖質を減らすことが重要になります。そしてケトン体ダイエットで最も重要なのはケトーシスの状態になるべく早く持っていくことです。つまり、糖質をなるべく減らし、脂質を代謝する方向に持っていきたいわけです。そのために重要なのは初日(もしくは最初の数日)のトレーニングです。肝臓には約100g、筋肉には約250gの糖が蓄えられています。そのためトレーニングが最も糖質の消費の効率が良いわけですが、トレーニングの種類でも解糖系を促進するトレーニングが最も効率的です。簡単にいうと75-85%1RMくらいの重さで行う筋トレです。ポイントとしては下肢の方が筋肉のサイズが大きいので、スクワットなどといった下肢のトレーニングが最も効率よく糖質を消費できます。またこのトレーニングの後に最後の一推しとしてウインゲートテストのような感じで自転車を30秒全力で漕ぐなどのトレーニングをやるとさらに糖を消費できます。ただし、これはあくまで効率の話ですので、好みや施設、経済的な理由などで筋トレが難しいという方はマラソンでも構いません。長距離を走ることで、解糖系の代謝は少ないなりに働いているので、糖の消費は可能です。ただし、時間帯効率も悪いですし、筋肉の分解も進んでしまうので、効率という面では悪いかもしれません。

ケトーシス以降のトレーニン

ケトーシスに持っていった後のトレーニングですが、しっかりと体内の糖質をなくせていれば、あとはそこまでトレーニング量を確保する必要はありません。というより、糖質がないのでできません。なので、上記のような筋トレを2セットやるだけで割ときついと思います。そのため、週に2-3回前後を目安に1回1時間前後、数種目のトレーニングを2セットずつ行うだけで十分です。

 

レーニング例:A

・スクワット:2セット×8-12回を75-85%1RMの重さで

・レッグプレス:2セット×8-12回を75-85%1RMの重さで

ブルガリアンスクワット:2セット×8-12回を75-85%1RMの重さで

 

レーニング例:B

・ベンチプレス:2セット×8-12回を75-85%1RMの重さで

ダンベルフライ:2セット×8-12回を75-85%1RMの重さで

・プッシュアップ:2セット×限界までを自重で

 

食事

脂質の摂取量の確保

理論のところでも言いましたが、脂質の量が十分にないとケトーシスになりません。よくあるケトン体ダイエットの失敗例として、脂質の摂取量が不足していることが挙げられます。この脂質の摂取が意外と難しいのです。例えば、卵焼きに多めの油をいれて食べたり、チーズやナッツをおやつ代わりに食べるなどの工夫が必要です。また、このような多量の脂質を摂取するため、摂取する脂質は選ばなければなりません。例えば、サラダ油や酸化した油を摂取するのと、オメガ3などの脂質を中心に摂取するのではダイエット面だけでなく、健康面においても影響が変わってきます*1。そのため、油はオリーブオイルなどを用い、なるべくオメガ3を意識的に摂取することが良いとされています。

食物繊維の摂取

ケトン体ダイエット中は野菜の摂取量が減りやすく、食物繊維が不足しがちです。というのも、野菜には意外と糖質が含まれており、たくさん野菜を食べることはケトン体ダイエットの観点からすると失敗するする可能性が高くなるからです。そのため、便秘気味の人などは特にサプリメントなどを用いて食物繊維の摂取は必要になってくるでしょう。

 

体質の見分け方

ケトン体ダイエットの特徴として脂質の多い食生活になるということです。そのため、胃もたれする方などはケトン体ダイエットには向かないかもしれません。また、食物繊維のところでもお伝えしましたが、食物繊維の摂取量も自然と減ってくるので、便秘がちの方は食物繊維をしっかりと摂取していかないと難しいかもしれません。 

 

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参考文献

*1:Simopoulos A. P. (2006). Evolutionary aspects of diet, the omega-6/omega-3 ratio and genetic variation: nutritional implications for chronic diseases. Biomedicine & pharmacotherapy = Biomedecine & pharmacotherapie60(9), 502–507. https://doi.org/10.1016/j.biopha.2006.07.080