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この頭痛の種類は理学療法/リハビリで治る! -鑑別診断とエビデンス-

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頭痛の原因は数多くあり、頭痛の種類によっては薬などで治療できるとは限りません。海外では一部の頭痛は理学療法が適応になります。そのため今回はどの頭痛の種類が理学療法適応になるのかをお伝えします。

 

 

頭痛の分類

Primary type Headache

この頭痛のタイプは頭痛が疾患そのものであるタイプになります。このタイプの頭痛には偏頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛が挙げられます。基本的にはこのタイプの頭痛は理学療法は適応ではありません

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Secondary type Headache

この頭痛のタイプは頭痛はある疾患による症状の1つに分類されるタイプになります。例えば、腫瘍、出血、顎関節症、薬の過剰摂取、頚部痛などによって起こります。

 

 

偏頭痛

疫学

アメリカでは国民の約12%の人が偏頭痛を経験しており、女性の方が数倍罹患率が高い頭痛になります。 特に出産適齢期の女性に多く、閉経後には減少していきます。偏頭痛には前駆症状があるものとないものがあり、前駆症状のある頭痛の方が重症化されやすい傾向にあります。

 

カニズム・症状

カニズムとしては中枢神経や血管の機能障害によって起こります。特に頭蓋骨内での血管収縮と頭蓋骨外での血管弛緩が影響していると言われています*1。頭部の動脈内のアセチルコリンポリペプチド、中大脳動脈と浅側頭動脈の弛緩が血管がリラックスします。症状としては疼痛は片側に生じ、4-72時間続きます。疼痛は鈍痛でズキズキするような疼痛を引き起こします。前駆症状のない偏頭痛では、頭痛とともに集中力の低下、疲労感、頚部のスティフネス、あくびや顔面蒼白などを同時に呈することがあります。一方、前駆症状のある偏頭痛における前駆症状とは、鬱状態、苛立ちなどの精神的症状、食欲低下、稲妻や黒い斑点が見えたりといった視界の変化、顔や手、舌に痺れなどの感覚障害などが生じます。特に舌の痺れに関しては一過性脳虚血発作(TIA)と鑑別するための重要な所見です。また脳卒中などによる片麻痺安堵の場合、この前駆症状中に滑舌が悪くなったり喋り方が不自然になるので、鑑別が必要です。

 

鑑別診断

前駆症状なしの偏頭痛

1.以下の中で合計で5つ以上当てはまる

2.頭痛が4-72時間続く

3.頭痛の疼痛の特徴として以下の中から最低2つ以上は当てはまる

 a.片側に疼痛が出現する

 b.脈打つような疼痛

 c.疼痛の程度は中〜高程度 

 d.身体活動によって悪化する

4.頭痛が生じている間、以下の中から少なくとも1つは当てはまる

 a.吐き気もしくは嘔吐

 b.羞明もしくは音恐怖症(光や音に敏感になる)

前駆症状ありの偏頭痛

1.前駆症状が1つ以上あり、それが5分以上続く

2.前駆症状が2つ以上継続して起こる

3.前駆症状が1つあたり5-60分継続する

4.前駆症状が1つ以上片側に出現する

5.前駆症状が頭痛と同時または遅くとも頭痛開始から60分以内に生じる

 

これらの症状が見られたら偏頭痛の可能性が高いです。偏頭痛は理学療法適応外のため、医師に送る必要があります

 

 

緊張型頭痛

疫学

Primary type headacheの中で最も発症する割合が高い頭痛で、20-50歳の間では約半数の人が経験するとも言われています。特に頻発する年齢は30-39歳であり、加齢と共に発生率は低下していきます*2。しかし、特定の薬を要することは稀です。この発症率にも関わらず、研究が進んでいないのが現状です*3。偏頭痛と比較して女性の割合が男性よりも特別多いわけではなく、男女比はやや女性の方が多いといった割合になります。

 

カニズム・症状

緊張型頭痛発症のメカニズムは神経学的な要因ではないかと言われていますが、現在のところあまりわかっていません。緊張型頭痛には症状を元に3種類に分類されます。

低頻度散発型

このタイプでは月に1度以下の頻度で起こる頭痛で、疼痛は両側に起き、押すようなもしくは締め付けるような痛みが生じます。身体運動によって悪化することはありません。吐き気や嘔吐することはありませんが、羞明や音に敏感になることはあります。偏頭痛のように特定の場所が痛むのではなく、全体にぼやっとした範囲で疼痛が生じます。疼痛の程度は低〜中程度になります。

高頻度散発型

このタイプでは何分間から数日に渡り続く頭痛で、症状の種類としては低頻度散発型と同じで、両側に疼痛があり、吐き気や嘔吐はありません。

慢性型

基本的に高頻度散発型の頭痛より慢性型に発展します。疼痛は毎日もしくは定期的に生じます身体活動によって悪化しませんが、吐き気や羞明、音に敏感になるといった状態が見られます。疼痛の種類としては上の2つと同じです。

 

このタイプは理学療法適応外なので、医師に送らなければいけません。 

 

群発性頭痛

疫学

Primary type headacheの中で最も罹患率が低いですが、最も疼痛の程度が重いタイプの頭痛です(この中に三叉神経痛も含みます)。疼痛は15-180分で終わり、多くの人が45-90分間で終わります*4

 

カニズム・症状

疼痛の種類ですが、片側に生じ、鋭く、圧迫されるような 、燃えるような疼痛です。また、頭痛と同側に自律神経関連の症状(落涙、鼻詰まり、顔面で発汗、まぶたの浮腫、縮瞳、眼瞼下垂、精神症状など)が出ることが特徴です。群発性頭痛には散発型と慢性型の2種類が存在します。散発型は1日に1-8回ほどの頭痛が1-3ヶ月ほど続き、数ヶ月〜数年ほど緩和し、また疼痛がぶり返すといったサイクルでおきます。この場合、疼痛の程度や種類は毎回同じことが多いです。慢性型は上記の疼痛が1年以上続き、全く緩和しないもしくは1ヶ月未満で再発することが多いです。近年、群発性頭痛でも偏頭痛のように、羞明や音に敏感になる、吐き気や嘔吐といった症状が出る場合もあるとも言われています*5

 

このタイプの頭痛はアルコールを控える、睡眠不足を防ぐといった生活習慣指導を行うことはありますが、基本的には理学療法適応外なので、医師に送らなければなりません

 

 

頚椎由来の頭痛

疫学

このタイプの頭痛はSecondary type headacheの1つになります。好発年齢は49.4歳以降(30-44歳で起きるのは稀)で、頭痛の患者の約1-4%に値します。*6。男女比はほとんど同じです。

 

カニズム・症状

疼痛は慢性痛が多く、環椎後頭関節〜頚椎から生じるものです。疼痛は片側に出現し、その同側に肩〜腕にかけて放散痛が生じ、頚部のROMが低下します。頚椎のマルアライメントなどによって頚部の神経の通り道が狭窄したりすることで、疼痛が生じます。頭痛の症状は上記のPrimary type headacheに似ているので、誤診されることも珍しくない疾患です。疼痛は頚椎から疼痛のシグナルが頭部に送られて生じている可能性(関連痛)があると示唆されています*7。特にC1-3の影響が多いと言われています。そのため頚椎の受傷歴があるかどうかも需要な指標になってきます。このタイプの頭痛は理学療法適応内なので、頚椎を中心に治療を行っていくことになります。また、適応内ということで医師からリハビリの処方が送られることもあります

鑑別診断

以下の項目に当てはまった場合頚椎由来の頭痛を疑います。

1.疼痛が頭部だけでなく頚部にも生じる(頭部の疼痛は通常片側)

2.頚部の決まった動きによって疼痛が誘発される

3.以下の中から1以上該当する

 a.他動での頚椎ROM低下

 b.ストレッチや筋の収縮によって筋緊張が変化する

 c.頚部筋群に圧痛

4.画像初見にて以下の中から1つ以上該当する(医師が診察する場合)

 a.異常な屈曲・伸展の動き

 b.異常姿勢

 c.骨折、骨の奇形、リウマチ、骨肉腫

 

直接介入する場合のレッドフラッグス

もちろん上記に当てはまったらすぐに理学療法的介入を行うにはリスクが存在します。そのため、理学療法士が直接介入する前にレッドフラッグスを確認し、もし該当するのであれば医師に送らなければなりません。

・疼痛は急に生じた(急性)

・頭痛時に発熱、皮膚の病変が生じる

・癌やHIV、全身性疾患の既往歴がある

・中枢神経障害の症状がある

・咳やくしゃみをすることで悪化する

・疼痛が妊娠中に急に生じた

 

理学療法/リハビリと治療

このタイプの頭痛は理学療法の適応であり、様々な治療法が示されています。

 

理学療法

頚椎モビリゼーション・マニピュレーション

頚部屈筋群を中心とした筋力強化エクササイズ

胸椎マニピュレーション

C1-C2ROMセルフトレーニン

この頭痛の問題点としてよくあるのが、環軸関節の回旋ROM低下が挙げられます。またその可動域低下に起因する要因として挙げられるのが胸椎の可動域低下があり、この2つの可動域確保が重要なポイントになります。その可動域改善後に求められるのが頚部周囲筋の強化です。しっかりと頚部を安定させることが再発予防になるので、頚部の特に屈筋群の強化がキーになります。もちろん頚部の状態によって治療プランは変わってくるので、あくまでこれらは例であることをご了承ください。

 

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参考文献

*1:Goodman CC, Fuller KS. Pathology(2009): Implications for the Physical Therapist 3rd ed. , St. Louis: Saunders Elsevier:p1551-1559.

*2:Chowdhury D. (2012). Tension type headache. Annals of Indian Academy of Neurology, 15(Suppl 1), S83–S88. https://doi.org/10.4103/0972-2327.100023

*3:Society International Classification of Headache Disorders II. Available from http://ihs-classification.org/en

*4:Matharu, M. S., & Goadsby, P. J. (2002). Trigeminal autonomic cephalgias. Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry, 72 Suppl 2(Suppl 2), ii19–ii26. https://doi.org/10.1136/jnnp.72.suppl_2.ii19

*5:Schürks, M., Kurth, T., de Jesus, J., Jonjic, M., Rosskopf, D., & Diener, H. C. (2006). Cluster headache: clinical presentation, lifestyle features, and medical treatment. Headache, 46(8), 1246–1254. https://doi.org/10.1111/j.1526-4610.2006.00534.x

*6:Al Khalili Y, Jain S, Murphy PB. (2019) Headache, Cervicogenic. Available from:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK507862/

*7:Headache Classification Subcommittee of the International Headache Society (2004). The International Classification of Headache Disorders: 2nd edition. Cephalalgia : an international journal of headache, 24 Suppl 1, 9–160. https://doi.org/10.1111/j.1468-2982.2003.00824.x