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FODMAPでスポーツ時のお腹の不調(IBS)を解決するには -やり方とメカニズム-

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近年、テニスのジョコビッチ選手が取り入れていることで有名なFODMAPを中心とした食事療法の認知度が、スポーツ時にお腹の不調を訴えるアスリートやランナーの皆さんを中心に流行しています。ただ、これはまだ新しい方法で、詳しいやり方は病院の医師の方でも知らない方が多いのが現状です。そこで今回はFODMAP食事療法の詳しいやり方とメカニズムについてお伝えできればと思います。

 

 

スポーツ時の腹痛(IBS)のメカニズム

スポーツ、特に走っている時や試合前に腹痛や吐き気などの消化器官の症状を訴える人がいるのではないでしょうか?IBS(Irritable Bowel Syndrome)にはもちろん様々な要因があるとは思いますが、よく見られるのは腸内にあるはずの細菌が腸壁を通り越して炎症を起こしたり、ストレスや自律神経などが要因で腸の運動が悪くなったりといったが多いです。特に、ストレス、食事、ホルモンが要因になることが多いです。女性はホルモンの影響で男性の約2倍症状を持っている人が多いです。また若い人の方が症状が出る人が多いです。スポーツをやっている人にとっては試合への準備や緊張などがストレスになり、症状を誘発してしまいます。少し細かい話になってしまいますが、運動によって筋肉などに血流が行ってしまうため、腸などの消化器官への血流量は半分ほどになってしまいます。それによって小腸ではIntestinal Villus(絨毛)がある腸壁が少し脆くなってしまい、細菌がそこを通過してしまうことで腸機能が低下してしまい、下痢や嘔吐などを引き起こしてしまう。上記の3つの要因のうち、ストレスとホルモンに関しては改善するのが難しいので、食事の部分を改善することでIBSの症状を軽減しようと考えられたのがFODMAPが低い食材を摂取していこうという食事療法になります。

 

 

FODMAPとは

FODMAPとはFermentable:発酵できる、oligosaccharides: オリゴ糖、Disaccharides:二糖類、Monosaccharides:単糖類、And、Polyols:ポリオールの略で、これらは小腸で消化・吸収されにくい物質になります。腸が過敏な人はこれらを摂取することで腸の不快感や消化器系の症状を誘発する可能性があります。ただし、FODMAPによって腸の炎症を引き起こすことはありません。長期的にFODMAPを摂取せずにいると、健康に悪影響を及ぼす可能性が報告されています*1ので、試合前日や試合前といった特定の時間帯に摂取を控えることは問題ないですが、長期的に控えるのはやめた方が良さそうです。テニスのジョコビッチ選手が行なっている食事療法としては、このFODMAPを多く含んでいる食材の摂取を控えるというものです(以下の本を参照)。

 

 

FODMAPを含まない食材

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FODMAPを含まない、つまり上記でお伝えした物質を含んでいない食材を優先的に摂取したいものです。

 

穀類・ナッツ類

炭水化物は選手にとって重要な栄養素の1つですよね。そこで以下の食材はFODMAPが多く含まれているので、試合直前などは控えた方が良さそうです。

ビスケット
ケーキ
シリアルバー
クロワッサン
マフィン
パスタ
うどん
小麦粉
パン
オートミールパン
ナン
カシューナッツ
ピスタチオ

続いてFODMAPがあまり含まれていない食材です。


もち(特に餅米)
オートミール
くるみ
ピーナッツ
マカダミアナッツ
ポップコーン
プレッツェル
トルティー
豆腐

 

肉・魚類

肉・魚類ではあまりFODMAPが多く含まれている物はないですが、以下の食材には注意しましょう。

チョリソー

ソーセージ

以下の食材はFODMAPがあまり含まれていません。基本的には加工肉出なければ大丈夫です。

牛肉
鶏肉
豚肉
ラム肉
七面鳥
マグロ
サーモン
マス
ムール貝
かに
ロブスター
えび
牡蠣

 

野菜

野菜の中でFODMAPが多く含まれている野菜は以下の通りです。これらの食材は試合の直前は控えた方が良さそうです。

ニンニク
アスパラガス
カリフラワー
ザウアークラウト
豆(特にkidney beans)
マッシュルーム
醤油
エシャロット
タロイモ
春玉ねぎ
玉ねぎ

次はFODMAPがあまり含まれていない食材です。

スプラウト
ブロッコリー
キャベツ
人参
セロリ
チコリ
コーン
なす
しょうが
レタス
オクラ
オリーブ
カボチャ
大根
ほうれん草
トマト
ズッキーニ

 

フルーツ

FODMAPの中でフルーツによく含まれている物質はフラクトースが挙げられます。なので、このフラクトースを多く含んでいる食材は以下の通りです。これらの食材は控えた方がよさそうです。

りんご
アプリコット
アボカド
バナナ(特に熟れている状態)
ブラックベリー
さくらん
干しぶどう
ヤシの実
イチジク
グレープフルーツ
ライチ
マンゴー


レーズン
イカ

反対にFODMAPが少ないフルーツは以下の通りです。これらの食材は摂取してもIBSを引き起こす可能性は低いと考えられます。

バナナ(熟れていないもの)
ブルーベリー
クランベリー
ドラゴンフルーツ
ブドウ
キウィ
みかん
オレンジ
パッションフルーツ
ラズベリー
イチゴ

 

乳製品・スイーツ

乳製品はイメージしやすいとは思いますが、念のため載せておきます。

チーズ
クリームチーズ
カスタード
ジェラート
アイスクリーム
サワークリーム
ヨーグルト

以下の食材はFODMAPがあまり含まれていない食材になります。乳糖不耐症の人はFODMAPによるIBSではなく、乳糖そのものによる消化器官の症状を訴える人がいるので、そこは分けて考える必要があります

ヤギチーズ
チェダーチーズ

マーガリ
牛乳
アーモンドミルク
ギリシャヨーグルト
ソイプロテイン

 

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参考文献

*1:Tuck, C. J., Muir, J. G., Barrett, J. S., & Gibson, P. R. (2014). Fermentable oligosaccharides, disaccharides, monosaccharides and polyols: role in irritable bowel syndrome. Expert review of gastroenterology & hepatology, 8(7), 819–834. https://doi.org/10.1586/17474124.2014.917956