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スポーツ生理学からみるコルチゾールと筋トレとの関係

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コルチゾールはストレスホルモンとして有名ですが、スポーツ選手にとってコルチゾールはどのような役割を果たしているのでしょうか?スポーツ生理学とエビデンスを元にスポーツや筋トレとの関係についてみていきたいと思います。

 

 

コルチゾールとは

コルチゾールとは副腎皮質ホルモンのことで、 副腎皮質によって産生されます。血中の平均濃度は12μg/100mlで、1日に平均15~20mg産生されます。

 

コルチゾールの機能

グルコースへの影響

コルチゾールインスリンと相反する機能を持っており、インスリン抵抗性を低下させ、糖新生を亢進させますインスリンの働きとして肝臓でのグリコーゲンの産生を促進し、グルコース産生を抑制する働きがあります。コルチゾールはこの働きを抑制するので、グルコース産生を促進することになります。また、GLUT4を阻害することで、細胞のグルコースの取り込みを抑制し、グルコースの利用を抑制します。

 

アミノ酸への影響

コルチゾールは血清中の自由アミノ酸を増加させ、コラーゲンの産生を抑制します。また、筋肉でのアミノ酸の吸収を減少させ、筋タンパク質の合成を阻害します。筋肉においてアミノ酸を分解し、血中アミノ酸濃度を高めることで糖新生を促進しますアミノ酸グルコースに変換する酵素コルチゾールによって増加します。一方肝臓でのタンパク質合成は促進されます。

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コルチゾールの分泌量増加

よくストレスホルモンと言われるようにコルチゾールの分泌量が上昇する要素はストレスを初めいくつかあります。コルチゾールの分泌量が増加する要素として、ウイルスなどに感染した場合、長時間または高強度の有酸素運動を行った場合、外傷やストレスを受けた場合、体内の浸透圧バランスが高カリウムの状態の時が挙げられます。スポーツの観点ではこの長時間または高強度の有酸素運動を行った場合が当てはまります。

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コルチゾールと筋トレの関係

筋トレを行う人にとってコルチゾールは重要なホルモンの1つになります。

筋トレを行うことでコルチゾールが分泌されるのは周知の事実だと思います。女性を対象とした研究では、レーニング後5分後以降でコルチゾールの値が安静時よりも有意に高いことがわかっています*1。またコルチゾールと筋トレの量の関係ですが、量をこなす方がコルチゾールの分泌量は高くなる*2という報告が一般的でありますが、必ずしもそうではないという報告もあります*3。また、休息に関してもレストが短い方がコルチゾールが分泌します*4。具体的には、10RMの重さで8セットのトレーニングを行った際、1分間の休憩は3分間の休憩よりコルチゾールの分泌が多くなります*5。トレーニングの強度に関してですが、有酸素運動においては強度が高い(VO2MAXが高い)トレーニングの方がコルチゾールの分泌量が高く*6、筋トレにおいても同じで、強度が高い方がより分泌されます*7

コルチゾール分泌増加条件

・トレーニングでのセット間レストが短い

・トレーニングの総負荷量が多い

・トレーニングの強度が高い

・トレーニング時間が長い

筋トレの工夫として、目的にあったメニューを行いつつこれらの項目が重ならないようにすることが重要になってくるでしょう。

 

 

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参考文献

*1:Bottaro, M., Martins, B., Gentil, P., & Wagner, D. (2009). Effects of rest duration between sets of resistance training on acute hormonal responses in trained women. Journal of science and medicine in sport12(1), 73–78. https://doi.org/10.1016/j.jsams.2007.10.013

*2:Smilios, I., Pilianidis, T., Karamouzis, M., & Tokmakidis, S. P. (2003). Hormonal responses after various resistance exercise protocols. Medicine and science in sports and exercise35(4), 644–654. https://doi.org/10.1249/01.MSS.0000058366.04460.5F

*3:Williams, A. G., Ismail, A. N., Sharma, A., & Jones, D. A. (2002). Effects of resistance exercise volume and nutritional supplementation on anabolic and catabolic hormones. European journal of applied physiology86(4), 315–321. https://doi.org/10.1007/s00421-001-0536-6

*4:Kraemer, W. J., Noble, B. J., Clark, M. J., & Culver, B. W. (1987). Physiologic responses to heavy-resistance exercise with very short rest periods. International journal of sports medicine8(4), 247–252. https://doi.org/10.1055/s-2008-1025663

*5:Kraemer, W. J., Clemson, A., Triplett, N. T., Bush, J. A., Newton, R. U., & Lynch, J. M. (1996). The effects of plasma cortisol elevation on total and differential leukocyte counts in response to heavy-resistance exercise. European journal of applied physiology and occupational physiology73(1-2), 93–97. https://doi.org/10.1007/BF00262815

*6:VanBruggen, M. D., Hackney, A. C., McMurray, R. G., & Ondrak, K. S. (2011). The relationship between serum and salivary cortisol levels in response to different intensities of exercise. International journal of sports physiology and performance6(3), 396–407. https://doi.org/10.1123/ijspp.6.3.396

*7:Raastad, T., Bjøro, T., & Hallén, J. (2000). Hormonal responses to high- and moderate-intensity strength exercise. European journal of applied physiology82(1-2), 121–128. https://doi.org/10.1007/s004210050661