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有酸素運動と筋トレってどうやって組み合わせるの?

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 有酸素運動と筋トレはどちらが良いか?順番はどちらが先か?といった疑問を抱えている人は少なくないですし、他のブログなどでもよく見る話題ですよね。そこで今回は優劣をつけるのではなく、組み合わせるにはどのようにすれば良いかをお伝えしていきます。

 

 

  1. パフォーマンスの観点では有酸素運動と筋トレはお互いに効果を打ち消し合う
  2. 有酸素運動と筋トレの行う割合を目的に合わせて調節する 例)筋肥大=1:2~3,持久力=1~2:1
  3. 同じ有酸素運動でもレストの短い強度の高いメニューの方が悪影響が少ない

 

有酸素運動と筋トレの効果

有酸素運動としてよく挙げられるのが持久力の向上ですよね。筋線維の観点では有酸素運動飲みを行うと筋肥大効果はなく、タイプⅠ線維の軽度の増加とタイプⅡ線維の軽度の減少がみられます*1。筋トレの効果は割と広まっていますが、少しおさらいします。筋肥大の効果があるのは周知の事実なので細かいことはここでは言いませんが、有酸素運動ではタイプⅠ線維の増加がみられるのに対し、筋トレによってタイプⅡ線維の増加がみられます*2

 

 

Concurrent Trainingとは

Concurrent trainingとは有酸素運動と筋トレのような無酸素運動の両方を組み合わせてトレーニングする方法のことをいいます。1度のトレーニングに両方組み合わせるだけでなく、複数の日数の中で両方行ってもconcurrent trainingと言います。

 

Concurrent Trainingの効果

concurrent trainingの効果は単純に有酸素運動の効果と筋トレの効果を足していくといったものではありません。それではお互いにどのように影響し合うのでしょうか?前述したように有酸素運動の効果と筋トレの効果は相反するものでもあります。筋肥大は主にmTORが活性化されることで生じるものですが、有酸素運動をすることでAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)が活性化し、このAMPKがmTOR(正確にはmTORC1)を抑制してしまうのです。このことによって筋肥大効果を抑制してしまいます*3。この有酸素運動によって活性化されるAMPKの働きがconcurrent trainingを難しくしている要因なのです。気をつけて欲しいのは、筋トレを行ってもAMPKは活性化するということです。どういうことか、有酸素運動と筋トレでは差がないではないかと思った方もいるとは思います。しかし、筋トレの場合、トレーニング中にAMPKが活性化しますが、トレーニング後1~2時間ほどでmTORが活性化し出します。しかし、有酸素運動の場合はAMPKの分泌量が筋トレを行った場合と比較して高く*4、mTORの活性化によって刺激されるp70S6Kという物質の数値が低くなるため、結果的に筋肥大が抑制されてしまうのです。

AMPKについてはこちら

dog.training-univ.com

 

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しかし2012年に発表されたメタ分析では、実際に研究でconcurrent trainingを行って見ると、筋トレ単独と比較してconcurrent trainingは筋量、筋力、VO2Maxにおいて有意な差はありませんでした*5。といってもやり方が重要になってきますので、以下でお伝えできればと思います。

Concurrent Trainingの脂肪燃焼効果

これまでの話はあくまで筋肥大や筋力などのパフォーマンスへの影響であって、減量を目的とした脂肪燃焼に関してはconcurrent trainingの有効性は高いと言われています。

※ここでは詳しくは触れません

 

Concurrent Trainingの方法

concurrent trainingの方法として様々な方法が言われています。もちろん、行っている競技、目標としている能力によっても変わってきます。例えば、筋肥大をメインのゴールとしながらも持久力の改善を行っている人は、有酸素運動と筋トレを行う割合(日数)を1:2〜1:3ほどにすることが良いとされています*6。もし持久力をメインとして向上させたいのであれば1:1~2:1ほどが推奨されています。ただここで1番注意して欲しいのは有酸素運動の量です。前述したように有酸素運動は筋トレの効果を打ち消してしまうので、最大で週に3回、1回あたり20~30分までに制限しないと筋トレへの影響が出てきてしまいます*7*8。また、下半身の方が上半身より有酸素運動による悪影響が大きいので、下半身のトレーニングを行う際には注意が必要ですが、レストの短いインターバルのような強度の高い有酸素運動であれば悪影響が少なくなります(自転車よりも走る方が悪影響が少ない)*9有酸素運動と筋トレのプランニングですが、筋トレを行うことで活性化されるmTORはトレーニング後約6時間ほど活性化されるので同じ時間に両方行うことは効率的でないでしょう。それぞれの効果を打ち消さないように有酸素運動と筋トレの間には6-24時間は最低でも開ける必要があります*10

 

 

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参考文献

*1:Edström, L., & Ekblom, B. (1972). Differences in sizes of red and white muscle fibres in vastus lateralis of musculus quadriceps femoris of normal individuals and athletes. Relation to physical performance. Scandinavian journal of clinical and laboratory investigation, 30(2), 175–181. https://doi.org/10.3109/00365517209081108

*2:Fry A. C. (2004). The role of resistance exercise intensity on muscle fibre adaptations. Sports medicine (Auckland, N.Z.), 34(10), 663–679. https://doi.org/10.2165/00007256-200434100-00004

*3:Fyfe, J. J., Bishop, D. J., & Stepto, N. K. (2014). Interference between concurrent resistance and endurance exercise: molecular bases and the role of individual training variables. Sports medicine (Auckland, N.Z.), 44(6), 743–762. https://doi.org/10.1007/s40279-014-0162-1

*4:Vissing, K., McGee, S., Farup, J., Kjølhede, T., Vendelbo, M., & Jessen, N. (2013). Differentiated mTOR but not AMPK signaling after strength vs endurance exercise in training-accustomed individuals. Scandinavian journal of medicine & science in sports, 23(3), 355–366. https://doi.org/10.1111/j.1600-0838.2011.01395.x

*5:Wilson, J. M., Marin, P. J., Rhea, M. R., Wilson, S. M., Loenneke, J. P., & Anderson, J. C. (2012). Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. Journal of strength and conditioning research, 26(8), 2293–2307. https://doi.org/10.1519/JSC.0b013e31823a3e2d

*6:Methenitis S. (2018). A Brief Review on Concurrent Training: From Laboratory to the Field. Sports (Basel, Switzerland), 6(4), 127. https://doi.org/10.3390/sports6040127

*7:Wilson, J. M., Marin, P. J., Rhea, M. R., Wilson, S. M., Loenneke, J. P., & Anderson, J. C. (2012). Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. Journal of strength and conditioning research, 26(8), 2293–2307. https://doi.org/10.1519/JSC.0b013e31823a3e2d

*8:Murach, K. A., & Bagley, J. R. (2016). Skeletal Muscle Hypertrophy with Concurrent Exercise Training: Contrary Evidence for an Interference Effect. Sports medicine (Auckland, N.Z.), 46(8), 1029–1039. https://doi.org/10.1007/s40279-016-0496-y

*9:Sabag, A., Najafi, A., Michael, S., Esgin, T., Halaki, M., & Hackett, D. (2018). The compatibility of concurrent high intensity interval training and resistance training for muscular strength and hypertrophy: a systematic review and meta-analysis. Journal of sports sciences, 36(21), 2472–2483. https://doi.org/10.1080/02640414.2018.1464636

*10:Shamim, B., Devlin, B. L., Timmins, R. G., Tofari, P., Lee Dow, C., Coffey, V. G., Hawley, J. A., & Camera, D. M. (2018). Adaptations to Concurrent Training in Combination with High Protein Availability: A Comparative Trial in Healthy, Recreationally Active Men. Sports medicine (Auckland, N.Z.), 48(12), 2869–2883. https://doi.org/10.1007/s40279-018-0999-9