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Allen's Test(アレンテスト)のやり方と陽性基準 -リスク管理とエビデンス-

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Allen's testは循環動態の評価によく用いられるテストで、病院で勤務されている方はよく用いるのではないでしょうか?しかし循環器系の評価としてはスポーツ現場やクリニックなどでもリスク管理のためには知っておきたいものです。

 

 

血管の解剖

橈骨動脈は腕橈骨筋と橈側手根屈筋の間を走行し、手関節のところで分離し、手掌表面に血流を供給します。そして尺骨動脈は尺側手根屈筋の下を通り、手関節のところではギヨン管を通り、そこで手掌の表面と深部へと分離します。このように両動脈共に手掌部分へ血流を供給するため、どちらか一方が正常に機能していれば、手掌部分に血液が供給されることになります。このテストの陽性の有無の判断はこのような解剖学的側面を把握しておく必要があります。

 

 

Allen's Test(アレンテスト)

Allen's Testとは?

アレンテストとは上肢(特に手)の循環異常の有無を評価するテストで、胸郭出口症候群(特に循環障害を伴う胸郭出口症候群)などの循環異常に起因する疾患を疑う時に用います*1。また、冠動脈の手術を受けた方など、全身性の循環機能に問題がある方に対しても行うことがあります*2。このテストはやり方のところでもあるように橈骨動脈と尺骨動脈を圧迫して評価するテストなので、それらの動脈の元である上腕動脈などの血流障害があっても陽性になる可能性があります。

 

やり方

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Andrewら(2015)より引用

患者は自動にて手指の屈曲・伸展(グー・パー)を3回ほど繰り返します。そして最後はグーの状態で保持してもらい、そのままセラピストは橈骨動脈と尺骨動脈を圧迫します。最初から両動脈を圧迫した状態で屈曲伸展を行わせる場合もあります。この時手掌の血流が阻害されるため、赤みを失い白くなっていきます。そして上の図*3のように手指を伸展(パーの状態)にしてもらい、それからセラピストは一側の動脈を開放します。この時すぐに手掌部分に赤みが戻れば正常で、6秒以上経過しても色が戻らなければ陽性です。これを両動脈、両側の手で行います。 

評価時に手関節が伸展していたり、パーの際に手指の外転が強いと正確に評価できないので、注意しましょう。

 

エビデンス

cut-off値を6秒にした場合、アレンテストの感度・特異度は以下の通りです。特異度が高いテストになるので、手の循環異常の確定診断に用いられます。

感度:54.5%(cut-off値5秒:79.6%)

特異度: 91.7%*4(cut-off値5秒:75.8%)

 

 

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参考文献

*1:Oettlé, A. C., van Niekerk, A., Boon, J. M., & Meiring, J. H. (2006). Evaluation of Allen's test in both arms and arteries of left and right-handed people. Surgical and radiologic anatomy : SRA, 28(1), 3–6. https://doi.org/10.1007/s00276-005-0039-y

*2:Ronald, A., Patel, A., & Dunning, J. (2005). Is the Allen's test adequate to safely confirm that a radial artery may be harvested for coronary arterial bypass grafting?. Interactive cardiovascular and thoracic surgery, 4(4), 332–340. https://doi.org/10.1510/icvts.2005.110247

*3:Foreman, A., de Almeida, J. R., Gilbert, R., & Goldstein, D. P. (2015). The Allen's test: revisiting the importance of bidirectional testing to determine candidacy and design of radial forearm free flap harvest in the era of trans radial endovascular access procedures. Journal of otolaryngology - head & neck surgery = Le Journal d'oto-rhino-laryngologie et de chirurgie cervico-faciale, 44, 47. https://doi.org/10.1186/s40463-015-0096-0

*4:Jarvis, M. A., Jarvis, C. L., Jones, P. R., & Spyt, T. J. (2000). Reliability of Allen's test in selection of patients for radial artery harvest. The Annals of thoracic surgery, 70(4), 1362–1365. https://doi.org/10.1016/s0003-4975(00)01551-4