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アセチルCoAとは -ピルビン酸・アセトン・クエン酸回路(TCAサイクル)-

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アセチルCoAは生理学や生化学を専攻している人にとっては常識レベルの知識だと思います。しかし、 私たち臨床家にとっては養成校時代に習ったものの、忘れてしまっていたり、正確に理解していなかったことが多い分野でもあると思います。そこで今回は臨床家として知っておくべきアセチルCoAのはたらきとビルビン酸・アセトンとの関係、クエン酸回路(TCAサイクル)についてお伝えしていきたいと思います。

 

 

アセチルCoAと解糖系

アセチルCoAはエネルギー代謝にとって重要な役割を果たします。そしてピルビン酸からアセチルCoAに変化しますが、その前にピルビン酸が産生される解糖系から順に説明していきます。

ピルビン酸ができるまで

そもそもピルビン酸とは何でしょうか?簡単にいうと、解糖系代謝によって産生される物質で、乳酸やアセチルCoAに変化するものです。解糖系の流れを以下に簡単にまとめました

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解糖系の式として上記のATPが2分子増える式が用いられることが多いですが、厳密にいうと、2分子減って4分子増えるので、最終的に2分子増えるという計算になります。そしてこのようにグルーコース1分子よりピルビン酸が2分子出来上がり、ATPが2分子産生されるわけです。

 

アセチルCoAができるまで

上記の流れでピルビン酸が産生され、続いてピルビン酸からアセチルCoAへの変化ですが、酸素下においてビルビン酸が脱炭酸反応とコエンザイムAという酵素によってによってアセチルCoAが産生されます。この変化では1分子のピルビン酸につき1分子のアセチルCoAが産生されます。この変化ではATPが産生されませんが、この時に産生された水素イオンが酸化される時ATPが最大6分子産生されます(その反応は後ほど)。

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ケト原性アミノ酸からアセチルCoAができるまで

解糖系だけでなく、ケト原性アミノ酸からもアセチルCoAを産生することができます。ケト原性アミノ酸アミノ酸の1種で、脂肪酸に変換されるアミノ酸のことを言います。ちなみに糖新生のために使われるアミノ酸は糖原性アミノ酸と言います。

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図のようにケト原性アミノ酸は直接または他の物質を経由してアセチルCoAに変換されます。

 

 

アセチルCoAと脂肪酸ケトーシス

脂肪酸への変換

上記のようにアセチルCoAまでの流れはお伝えしましたが、アセチルCoAが産生されてからの流れとして、下記にあるクエン酸回路にはたらくか、脂肪酸になる過程があります。クエン酸回路に関しては下記を参照して頂いて、脂肪酸への過程を説明します。

解糖系よりアセチルCoAになるまでの過程は上記の通りで、そのほかにもアミノ酸(ロイシン・イソロイシン)→アセチルCoAの流れや、アセト酢酸→アセチルCoAという反応など、アセチルCoAになる反応は複数あります(上記参照)。そしてアセチルCoAはマロニルCoAを経由して脂肪酸に変換されます。余談になりますが、上記のアミノ酸は最終的に脂肪酸に変換されるということです。

 

ケトーシス

通常の場合、アセチルCoAはクエン酸回路(下記参照)によって消費されます。しかし、肝臓の中で大量にアセチルCoAが産生された場合、アセチルCoAは3-ヒドロキシ酪酸またはアセト酢酸に変換されます。特にこのアセト酢酸は不安定な物質で容易に脱炭酸反応を起こしてしまいます。この反応によってアセトンが生成されます。アセトンはケトン体の1つであり、体内にアセトンが過剰に増えてしまい、ケトン体が尿中に含まれるようになってしまいます。この状態をケトーシスと言います。上記ではアセチルCoAから脂肪酸への変換を説明しましたが、糖が不足している状態や、高強度運動後、高脂肪食後では、脂肪酸がβ酸化することでアセチルCoAに変換され、上記のような過程でケトン体が産生されます。β酸化とは、脂肪酸から脱炭酸が起こる反応のことです。

 

 

アセチルCoAとクエン酸回路(TCAサイクル)

クエン酸回路とはミトコンドリアで行われる代謝経路のことで、アミノ酸代謝尿素回路糖新生に深く関わってきます。TCAサイクルとも呼ばれています。この反応では、まず水分子とオキサロ酢酸にアセチルCoAを結合することで、アセチルCoAのアセチル基を二酸化炭素と水素原子に分解し、クエン酸を産生します。そしてこのクエン酸から始まり、様々な過程を経てオキサロ酢酸を産生します。この一連の流れをクエン酸回路というのです。このクエン酸産生こそアセチルCoAの最も大切な役割といっても過言ではありません。なぜなら下記のようにクエン酸を産生することによってクエン酸回路が回り、アミノ酸などの代謝に貢献しているからです。

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上の図の通り、ピルビン酸はアセチルCoAを経由してTCA回路を経てオキサロ酢酸になる過程もあれば、直接オキサロ酢酸になる過程もあります。繰り返すようですが、アセチルCoAになることでクエン酸回路を回すことができるのでそのほかの物質の代謝に貢献しています。また、全ての糖新生はオキサロ酢酸を経て糖新生が行われるので、アセチルCoAは糖新生にも貢献しているわけです。そのため、体内に糖分が少なくなってくると、クエン酸回路を回して糖を体内から産生しようとはたらくわけです。

 

 

まとめ

上記のことをまとめると、アセチルCoAの産生方法は、解糖系によるピルビン酸産生とケト原性アミノ酸からの変換の2つがあり、アセチルCoAの働きとして、脂肪酸への変換とクエン酸回路(TCA回路)の代謝への貢献の2つがあるということを覚えておきましょう!
 

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