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Lachman Test(ラックマンテスト)-やり方・陽性基準・前方引き出しテストとの違い・感度・特異度-

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Lachman test(ラックマンテスト)はスペシャルテスト (整形外科テスト)として最も知られているテストの一つです。また、前方引き出しテストともよく比較され、何がどう違うのか、混乱している方も多いと思います。そこで今回は、ラックマンテストのやり方・陽性基準を中心に、説明していきたいと思います。

 

Lachman Test(ラックマンテスト)とは?

Lachman Test(ラックマンテスト)は、膝関節(脛骨大腿関節)の他動での副運動(Accessory movement)のテストで、前十字靭帯(ACL)損傷の有無を評価するために行われます。ACLは大腿骨に対して脛骨の前方移動を制限する靭帯です。そのため、この靭帯が損傷すると、脛骨の前方移動量が増加し、膝関節の不安定性を高めてしまいます。このテストはそのACLのテストのため、矢状面(前方向)における不安定性の評価に用いられます。

 

方法

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やり方

患者は背臥位になり、患者の膝を約20〜30度屈曲させます。検者は尾側の手で脛骨を把持し、頭側の手で患者の大腿を把持します。尾側の手の親指が患者の脛骨結節に位置するのが目安です。Bates' Guide to Physical Examinationによると、この時に下腿(脛骨)の外旋を少し加える方が良いとしています。その位置から脛骨を前方にスライドさせ、脛骨の移動量とエンドフィール(エンドポイント)を確認します。

ただ実際の臨床、特にスポーツ現場では、選手がリラックスできないことも多く、テストが正しく行えないことが多いです。 

陽性基準

脛骨を前方に引っ張ると、健常なACLの場合、大腿骨に対する脛骨の前方への並進運動を靭帯が制御し、エンドフィールはfirmになりますエンドフィールがsoftで脛骨の前方移動がみられた場合、陽性なります。健側の膝と比較して約2mm以上の前方移動はACLの損傷を示唆します。KT-1000と呼ばれる機器を使用して、ミリメートル単位で動きの大きさを測定もできます。

陽性の有無だけでなく、グレードによる分類も存在します。

グレードI:脛骨の前方移動:<5mm

グレードⅡ:脛骨の前方移動:5-10mm

グレードⅢ:脛骨の前方移動:>10mm

 
注意点

PCLも同時損傷している場合は、膝関節を屈曲した時に脛骨が重力によって背側方向に落ち込むため、そこから脛骨を前方に動かすと、脛骨の前後方向の移動量が増加してしまうため、誤診をしてしまう可能性が高くなってしまいます。そのためPosterior Sag Sign testなども併用して行うと良いです。

 

エビデンス 

前方引き出しテストとの違い

前方引き出しテストとの違いですが、一般的には下記にあるように感度は前方引き出しテストの方が高く、特異度はラックマンテストの方が高いという結果になっております。つまり、ラックマンテストの方が、陽性だった時実際にACLが損傷している確率が高く、前方引き出しテストの方が、陰性だった時にACLが損傷していない確率が高いということになります。ただ、麻酔科ではラックマンテストの感度は97.3%にまで上がるという報告もあります。また、実際の臨床では男女差を示唆する論文もあり、前方引き出しテストでは男性の方が感度が高く(男性:95%/女性:72.7%)、ラックマンテストでは女性の方が感度が高い(男性:66.7%/女性:94.6%)という結果になっています。

これらを踏まえると、感度・特異度の差や男女差もありますが、両方を用いてより信頼性を高める方が良さそうです。

感度・特異度

ラックマンテスト

感度:77-88%

特異度:98%

 

前方引き出しテスト

感度:92-94.4%

特異度:91%

 

感度・特異度についてはこちら

dog.training-univ.com

参考文献

Katz JW, Fingeroth RJ. :The diagnostic accuracy of ruptures of the anterior cruciate ligament comparing the Lachman test, the anterior drawer sign, and the pivot shift test in acute and chronic knee injuries. The American Journal of Sports Medicine 1986;14:88-91.

Hadi Makhmalbaf, Ali Moradi, Saeid Ganji, Farzad Omidi-Kashani: Accuracy of Lachman and Anterior Drawer Tests for Anterior Cruciate Ligament Injuries. Arch Bone Jt Surg. 2013 Dec; 1(2): 94–97.

 

マックマレーテストについてはこちら 

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