二刀流トレーナーの海外医科学図書館

二刀流【メディカル(診断・治療・リハビリ)とストレングス(トレーニング・栄養)】に渡るジェネラリストへ

頭頚部外傷のスクリーニングテスト

           「head injury」の画像検索結果

今回は頭頸部損傷のスクリーニングテストについてお伝えしていきます。

この評価の目的はX線やCTなどの画像撮影を頻度を減らして医療費を削減しようというものです。
そこで、画像撮影の必要の有無をスクリーニングする評価方法を作成したという事です。
というのも、スポーツ現場で働いたことのある方なら思う事だと思いますが、現場でできる評価は限られていて、「一応」「念のため」病院に行かせるケースは少なくないと思います。
 
命にも関わる重要なことですし、現実的にも医療費の削減に貢献していきたいですよね。
 

San Francisco Syncope Rule

San Francisco Syncope Ruleについてお伝えしていきます。
この評価法は失神または失神を呈する患者における重症するリスクを評価するための方法です。
 
以下が各項目になります。
 

f:id:dogknt:20190116020655j:plain

これらの項目のうち、1つでも当てはまれば重篤化するリスクがあるので、検査をする必要があります。

しかしこれらはある程度施設の整った病院等でないと評価できないので、スポーツ現場などでは不向きかもしれません

 

The Canadian C-spine Rule

2010年に論文で書かれていたThe Canadian C-spine rule(CCR)についてお伝えしていきます。

 
これは名前の通りカナダで作成された評価方法で、対象はGCSで15または頚椎に傷害があると考えられる患者に適応されます。
 
それでは評価方法の実際を見ていきましょう。
 

ステップ1 高リスク要因

ここでは陽性の場合、頚椎に異常が疑われる項目になります。
 

f:id:dogknt:20190115213905j:plain

 

これらの条件のうち1つでも当てはまれば画像を撮影する必要があります。
当てはまらなければステップ2へ
 

ステップ2 低リスク要因

ここでは、異常が無い場合に出る項目になります。
 

f:id:dogknt:20190115220108j:plain

 
これらの条件に1つも当てはまらなければ画像を撮影する必要があります。
 
高リスクのところとは違い、当てはまった方が良い項目となります。
そのため、これらの項目は症状が軽い項目(低リスク)になっています。
つまり、1つも当てはまらない=正常な反応や軽い症状がない=重症という考え方です。
 
1つでも当てはまればステップ3へ
 

ステップ3 頸椎の可動性

 
最後に頸椎の可動性についてチェックします。
 
評価方法は簡単で、
自動で左右に回旋できるかどうかをチェックします。
できれば画像の撮影は必要ないという判断になり、できなければ画像を撮影する必要があるという判断になります。
 
以下の論文を参考にしているので、興味がある方はぜひ。

The Canadian C-spine rule for radiography in alert and stable trauma patients. - PubMed - NCBI

 

Canadian CT Head Rule

続いては頭部に関するスクリーニングテストで、CTを撮る必要があるかどうかをスクリーニングする評価方法です。通常、X線などで異常が疑われた場合、CTを撮影しますが、それ以外の指標としてこのスクリーニングテストがあります。 

 

このスクリーニングテストの対象になるのが、

・軽度の頭部外傷で、明らかな健忘症もしくは見当識障害が見られる

・GCS 13以上

・受傷後24時間以内

となります。

 

反対に、対象にならないのが、

・外傷ではない場合

・GCS13未満

・16歳未満

・止血機能の障害、出血性疾患があるもしくは経口抗凝固薬を服用している

・不安定なバイタルサイン

・妊娠中

・明らかな開放、陥没骨折

となります。

 

ステップ1 外科的手術を視野に入れる高リスク 

f:id:dogknt:20190116032248j:plain

 

これらの項目に1つでも当てはまればCT撮影を行う必要があります。これらの項目はリスクが高く、手術を視野に入れるため、CT撮影を行う必要があります。

※頭蓋底骨折の所見とは、鼓室内出血、パンダの目徴候、脳脊髄液が体外に漏れる、Battle徴候のことを指す。

 

 ステップ2 中等度リスク 

f:id:dogknt:20190116084648j:plain





 

これらの項目に1つでも当てはまればCT撮影を行う必要があります。

 

The New Orleans Rule

最後にもう1つ頭部のスクリーニングテストをお伝えします。

対象は軽度頭部外傷受傷者で、GCSが15の人です。

 

f:id:dogknt:20190116041022j:plain

 

これらの項目のうち、1つでも当てはまればCT撮影を行う必要があります。

このテストは簡単なので、重宝されるかと思われがちですが、Canadian CT Head Ruleと比較した論文では、感度は2つとも95%と高いのですが、特異度はCanadian CT Head Ruleが50.6%なのに対し、The NewOrleans Ruleは12.7%と低い値となっております。
また、k値も0.85 vs 0.47なので、The New Orleans Ruleの信用度は高くはないようです。

 

いかがでしたか?

なんとなく頭頚部外傷を判断されている方もいらっしゃるかと思いますが、他のテストとも合わせて、しっかりとスクリーニングしていく必要があるように思います。