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頚部痛に対する鍼灸の効果の持続性について

         「acupuncture howlong」の画像検索結果

 

今回は頚部痛に対する鍼灸の効果の持続性についての論文を読んでみたので、お伝えしたいと思います。

 

 

今回のポイント

慢性の頚部痛に対しては鍼灸が有効であるというエビデンスが多い

治療後3ヶ月を超えると鍼灸の効果は薄いと考えられる

 

 

まずは慢性期の頚部痛に対する論文です。

bmjopen.bmj.com

 

この論文はメタ分析を行った論文で、鍼灸の治療とダミー針を比較したRandomised controlled trials (RCTs)を集めて比較した論文になります。

 

続いて集めた論文の主な研究方法ですが、

被験者は3ヶ月以内に慢性的な頚部痛と診断された患者としています。

内訳は器質的な障害、変形性頚椎症、筋筋膜性頚部痛が含まれています

 

治療方法は通常の鍼灸針治療、電気鍼灸、耳介鍼灸、頭蓋鍼灸が行われ、コントロール群として、ダミー針を用いました。

 

評価方法はVisual Analogue Scale (VAS)もしくはMcGrill(MPQ)質問用紙を用いて評価しています。

 

結果ですが、どの論文においても鍼灸治療によるVASやMPQの有意な減少がみられました

 

筆者は鍼灸の慢性期における頚部痛に対する効果を示唆しております。

 

以上簡単に慢性期の頚部痛に対する鍼灸の効果を研究した論文についてお伝えしました。上記の論文のように頚部痛に限らず、慢性期の疼痛に対しては鍼灸の効果を示唆している論文はすでに多くみられます。

 

しかし、鍼灸の治療効果がどのくらい続くのかが不明瞭であるのが現状です。

そこでもう1つ鍼灸の持続性について調査したものがあるので、お伝えしたいと思います。

 

journals.plos.org

 

この論文もメタ分析の論文で、頚部痛と腰部痛に対する鍼灸の持続性をみた論文になっております。

 

方法ですが、全体で658本の論文を調査し、最終的に75本の論文に絞り込みました。絞り込みの方法ですが、以下の条件にて論文を絞り込みました。

 

  1. ランダム化試験を行っているかどうか

  2. 治療方法は被験者に開示しないで行ったか(どの群かを被験者に知らせない)

  3. 被験者グループは最も重要な予後指標を表すベースラインに類似していたか

  4. 患者は介入に対してブラインドの状態で行ったか(どの治療方法を用いたかを非公開)

  5. 実験者は治療方法に対してブラインドの状態で行ったか

  6. 複数の介入を行なってないか

  7. カウントしなかった被験者の詳細をしっかりと開示しているか

  8. 各論文の結果を評価するタイミングが類似していたか

  9. 介入は治療を見越してのものであるか

  10. 各論文の結果は選択的に選んだものではないか

 

患者は17-90歳の頚部痛もしくは腰部痛を持っている合計11077名の患者です。

その中から急性期(診断後1ヶ月以内)、準急性期(1−3ヶ月後)、準慢性期(3−12ヶ月後)、慢性期(1年以上)の群にわけました。また、介入(治療)後1週間以内、3ヶ月以内、3−12ヶ月以内、12ヶ月以上

 

治療方法は通常の鍼灸、TENS、あん摩マッサージ、カッピング、中国式の運動療法を行っていました。コントロール群としてはダミー針を用いた鍼灸としています。

評価方法はVisual Analogue Scale (VAS)を用いて点数化しています。

 

この記事では鍼灸の部分にのみ焦点を当ててお伝えして行こうと思います。

鍼灸治療はダミー針による鍼灸と比べて急性期の被験者ではMD=-0.58(I2=46.3%)となっています。また、他の論文では準急性期での比較でMD=-0.72となっています。準慢性期以降では両者で差がなかったMD=-0.32(-0.68~0.04)ようです。

 

このことから、急性期と準急世期、つまり治療後3ヶ月以内は鍼灸の効果が持続するが、それを超えると両者に差がなくなってきていることがわかります。

 

ただ、急性期でのばらつきがI2=46.3%を示しており、統計学的なばらつきは認めないものの、そこまで信頼性が高くなく、人によるばらつきが大きいのではないかというのが個人的な意見です。

 

いかがでしたか?
鍼灸治療は遅かれ早かれ、治療の効果は薄まってきてしまうのが現状のようです。そのため、運動療法や習慣の改善など、持続できるものをプラスして鍼灸の効果をより高めることが重要だと思います。