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胸椎伸展症候群の治療とリハビリテーション

 


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続いて胸椎伸展症候群の治療についてお伝えしていきます。

 

言うまでもないですが、この疾患において最も大切なことは胸椎の伸展を制限することです。

ではなぜ胸椎の伸展が過度に行われてしまうのでしょうか?

それには3つ理由があります。

 

 肩甲骨の機能不全

胸椎、特に上部胸椎の伸展は肩甲骨の動きが欠かせません。

特に内転、下制が影響して来ます。

前の記事でお伝えしましたが、僧帽筋中・下部や菱形筋の筋力低下によって疼痛部位での伸展で代償してしまいます。

特に上肢を挙上する際、肩甲骨の機能不全が顕著に見られます。

また、そもそも肩甲帯の柔軟性の低下によって肩甲骨の内転・下制が不足してしまうこともあります。

 

そのため治療の方法としては肩甲骨周囲筋群の筋力トレーニング、肩甲骨内転・下制の運動学習、肩甲帯のモビライゼーションなどが挙げられます。

 

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肩甲骨周囲筋群のトレーニングですが、ベントオーバーローや、シーテッドローイングなどの両肩甲骨を同時に動かすトレーニングも重要ですが、私個人としては肩甲骨を独立させて動かせることも重要だと考えているので、片側でのワンハンドローイングなどもオススメです。

 

運動学習においては、チューブでのトレーニングを始め、軽い負荷でしっかりと最大可動域まで動かすことが重要です。この時に胸椎が過度に伸展しないように評価しましょう。

また、チューブトレーニングではどの方向への負荷が弱いもしくは機能していないのかがわかりにくいので、徒手での抵抗運動も取り入れても良いかもしれません。

また、上肢の挙上運動での肩甲骨の動きもチェックし、上肢との機能的な面に対してもアプローチしていく必要が有ります。

 

肩甲帯のモビライゼーションは、特に肩甲棘内側縁や下角とその周囲の筋との癒着が起こりやすいので、そこを中心に行うと良いです。また、肩甲骨をセラピストが把持して、肩甲骨を肋骨から剥がすように牽引するのも肩甲骨の柔軟性にはアプローチ出来ると思います。

 

他の脊椎の伸展可動域低下

疼痛部位のセグメント以外の伸展可動域が少なく、疼痛部位での過度な伸展を促していることがあります。

この場合、その他の部位の伸展可動域低下の原因を突き止める必要が有ります。また、その部位が胸椎だけでなく腰椎である可能性もあります。

主に脊椎の伸展制限が生じる原因としては椎間関節の動きが悪い、胸椎であれば、肋骨の動きも影響して来ます。

 

そのため、治療方法としては、脊椎椎間関節の関節モビライゼーション、肋間筋・肋椎関節のモビライゼーションなどが挙げられます。

肋骨に関しては、肋椎関節や肋間筋だけでなく、胸骨が関係してくる場合もあるので、具体的な評価が必要になってきます。また、胸鎖関節といった鎖骨なども上肢を挙上する際への障害にもなるので、注意が必要です。

※疼痛部位への関節モビライゼーション(該当するセグメントにおいて、stiffnessがある部位に対して)を行うと推奨する人がいますが、エビデンスレベルにおいても2~3個しか有効だという論文は拝見しておりませんので、あまり積極的な介入は避けた方が良いかもしれません。

 

局部での伸展のイメージしかない

患者本人に、疼痛部位以外のセグメントで伸展するように言っても、よくわからないと返答されることがあります。

そもそも背部等ところはそこまで繊細な感覚があるところではありません。

この動かすイメージないことが少し厄介なところでもあります。

 

そのため、治療方法としては、脊椎の各セグメントを動かすイメージを持たせる運動学習などが挙げられます。

 

実際の生活やスポーツ動作の中で行うのもありですが、ただでさえ意識しづらいところなので、うまくいけば良いのですが、うまくいかない場合も少なくありません。

極端な話、座位や立位のまま体幹を伸展させる単純な動作から始めるのもありだと個人的には思います。その中で鏡を用いたり、動画を撮影したりして、まずは本人に動作を認識させることが重要です。「疼痛部位以外のところで伸展するとは?」から始めるということです。

その認識を行うことができたら、次のステップとして実際の日常生活や、運動の中でも少しづつ意識していけるような練習を行っていきます。

 

いかがでしたか?

胸椎伸展症候群は伸展による疼痛というピンポイントな疾患ですが、患者の数は少なくないように思えます。

細かい胸椎の評価等は有りますが、まずはどのような動きが痛いのかと言った動的評価も重要ですよね。

私自身も診断の精度をあげて行きたいと思います。

ではでは。