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胸椎および胸郭のRed Flag

「Rib cages」の画像検索結果

胸椎や胸郭の症状を訴える患者さんが来院したときのRed Flagをお伝えしていきます。

胸郭の中には心臓や肺などといった数多くの臓器が存在します。

ということは、これらの臓器に異常があれば、胸郭に症状が出てもおかしくありません。

患者さんが胸郭や胸椎のあたりの症状を訴えて来たとき、筋骨格系の症状を疑う前に、これらのより重症な症状の可能性を消して行く作業が必要になります。

 

以下では、各疾患に見られる症状(Red Flag)をピックアップしました。

 

Myocardial infarction【心筋梗塞

症状:胸痛、蒼白、多汗、呼吸困難、吐き気、動悸

既往歴:慢性の心臓疾患、高血圧、喫煙、糖尿病、血清コレステロール240mg/dL以上

年齢:男性40歳以上、女性50歳以上

その他:症状が30分以上続き、ニトログリセリン舌下粉末剤を投与しても症状が緩和されない

 

Stable angina pectoris【狭心症

 症状:胸痛もしくは特定の動作で起こる締め付け感(もし不特定であれば、不安定狭心症を疑う)

その他:症状が安静もしくはニトログリセリン舌下粉末剤の投与によって軽減される(されない場合、不安定性狭心症を疑う)

 

Pericarditis【心膜炎】

症状: 頚部の側面や肩に関係する、刺すような鋭い胸痛

その他:左側臥位になると疼痛が悪化する、座位にて前にかがんで上肢を支えると疼痛が軽減される

 

Pulmonary embolus【肺塞栓症

症状:胸痛(約50%)、肩や上腹部の疼痛、呼吸困難(突発性が約80%)、失神、動悸

※現在では、長時間の手術によっても起こると言われているので、術後直後のリハ時には気をつけましょう。

 

Pleurisy【胸膜炎】

 症状:吸気時にナイフで刺されるような深刻な疼痛

既往歴:呼吸器系の機能低下・不全(感染、肺炎、癌、結核など)

↑単独で発症は少なく、ほとんどこれらの疾患に関係して発症するので、既往歴に注意

※胸部X線で胸水が確認される→その後胸水検査で確定診断

 

Pneumothorax【気胸

症状:呼吸や肋骨を動かした時の胸痛

その他:最近、咳や激しい運動やトラウマ時に発作が起きる 、打診時に共鳴音が片側の肺から聞こえてくる

※勿論、交通事故などで肋骨が肺に刺さるようなHistoryがあれば気胸(医原性気胸)の可能性を疑います。また、正式な診断には胸部X線を撮影します。

 

Pneumonia【肺炎】

症状:肩に言及される胸膜炎(上記参照)の疼痛、発熱(数日間にも渡ることが多い)、寒気、頭痛、倦怠感、吐き気、咳

※一見通常の風邪やインフルエンザのような症状ですが、呼吸困難や色のついた痰(黄色、緑色)が出るなど、前者にはない症状が見られます。

また、肺炎には気管支肺炎と大葉性肺炎があり、後者の場合は咳や痰などの前駆症状が出ないことが多いです。

 

Cholecystitis【胆嚢炎】

 症状:右上腹部厄介な疼痛とそれに付随する右肩甲骨の疼痛

その他:脂質の多い食事をすると症状が悪化する、安静にしても症状の軽減は少ない

 

Peptic ulcer【消化性潰瘍】

症状:鈍いかじられるような痛み、上腹部、背部、鎖骨上に燃えるような感覚 

その他:食べ物によって症状が軽減する、圧痛が右腹部に移動する

 

Pyelonephritis【腎盂腎炎】

症状:悪寒、発熱、時々頻尿や排尿時の疼痛(膀胱炎の症状)

既往歴:近年腎臓の感染症を患った、前立腺肥大、腎結石

その他:腰背部の叩打痛

 

Nephrolithiasis【腎結石】

症状:急かつ深刻な背部や側部の疼痛、寒気、発熱 、吐き気、嘔吐、腎疝痛、腎感染様の症状

既往歴:過去に腎結石の既往がある

その他:温暖かつ高湿度の地域に住んでいる

 

いかがでしたか?

心臓や肺といった呼吸器・循環器系はイメージがつきやすいとは思いますが、腎臓や消化器系の疾患でも胸郭部位に疼痛が現れることがあります。

似たような症状が多いですが、疼痛の種類や場所、既往歴などを細かく把握して、必要であれば医師への紹介状を書く必要があります。

また、スポーツ現場でも心臓疾患や気胸などといったことも見られることが多いので、これらを指標にして判断して行くことが大切だと思います。