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急性期の足関節捻挫への介入

「ankle sprain」の画像検索結果

 

足関節の捻挫はよくスポーツの現場で起きてしまいます。慢性化しやすい傷害の1つで、中々治療するにも難しいというのが現状です。

病院のスタッフの方や、現場のトレーナーの方で徒手療法や、物理療法を行う方もいるのではないでしょうか?そこで、現時点での急性期の足関節捻挫に対する介入の効果について情報を集めて見ました。

 

まとめ
急性期における運動療法と装具療法は再受傷の予防に対して強いエビデンスが見られた
急性期での超音波は有効とは言えなかった
急性期における手術の効果に対しては議論の余地がある

 

 

 

はじめに

今回ご紹介する論文はこちらです。

bjsm.bmj.com

急性期の足関節捻挫に対する治療方法を評価した論文になっています。この論文はメタ分析を行った論文で、各治療(下記)における効果を評価しています

 

治療の内容ですが、まずは手術をしたか否かで論文がわかれます。手術をしていない群はさらに運動療法徒手療法、物理療法、テーピングや装具療法、鍼灸、薬を行った論文がありました。

 

各治療の評価方法ですが、論文によって異なりますが、基本的には再受傷をしたな否かです。その他にも、疼痛、腫脹、機能などを測定している論文もありました。

 

そして論文のスクリーニングですが、まずは最初に2506本もの論文を査定しました。その中から、46本もの論文に絞り、まとめています。

絞り込んだ条件として、

1)システマティックレビューであり、様々な論文によって構成されていること

2)足関節捻挫もしくはCAIの治療に対して評価をしているもの

3)AMSTER 法を用いた治療に対するバイアスの評価で7点以上

のものを条件としています。

 

それでは各治療方法における結果をお伝えしたいと思います。

 

手術

6つの論文にて評価したところ、これらの論文のいずれも突出した手術の効果は示すものはなく、保存療法との差は明確なものではないことがわかりました。筆者も急性期においては、すぐに手術を行うべきではなく、保存療法をまず行い、症状が長期間続く場合のみ行うべきだと述べています。

 

運動療法

18本の論文を評価したところ、運動療法自己評価による機能が改善したという報告が多く(10本)ありました。また、3つの論文において運動療法によって足関節捻挫の再受傷を予防できたというものでした。筆者も運動療法は再受傷の予防には強いエビデンスがあると述べています。運動療法の種類はバランストレーニングや、PNFトレーニング、神経筋トレーニングなどを行いました。論文によっては徒手療法と組み合わせて行っている論文もありました(そのため論文の合計数が合わないです)。

 

徒手療法

18本の論文を評価したところ、徒手療法が足関節捻挫の再受傷の予防に効果的だとはっきりと明言している論文はなく、筆者もまだ議論の余地があると述べています。というのも、短期間でも効果でいうと、徒手療法直後は足関節背屈のROMが向上しましたが、それが再発予防に関与しているか不明ですし、長期的な効果は得られなかったからです。徒手療法について、*1という論文においても、足関節背屈ROMの向上は短期的に見られるものの、長期的なものは見られないとしています。

 

物理療法

6本の論文を評価したところ、アイシングと圧迫については足関節捻挫の予防また自己評価における機能の改善に対しては効果は見られなかったとしています。また、超音波療法においても効果は見られなかったとのことです。

 

テーピングと装具療法

6つの論文を評価し、6本ともテーピングと装具療法には足関節捻挫の予防、そして自己評価における機能を改善するとしています。

 

鍼灸

3本の論文を評価したところ、鍼灸は足関節捻挫の予防に効果的なものは見られませんでした。

 

3本の論文を評価したところ、薬においても足関節捻挫の予防に効果的とされる論文は見当たりませんでした。

 

 

今の所モビライゼーションやリラクゼーション効果のある治療は再発予防に対してあまり効果的ではないようです。ただ、リハビリ中など、目的に応じて使い分けていく必要があるかもしれないというのが個人的な見解です。

*1:Ishanka Weerasekara el(2018);Clinical Benefits of Joint Mobilization on Ankle Sprains: A Systematic Review and Meta-Analysis