二刀流トレーナーの海外医科学図書館

二刀流【メディカル(診断・治療・リハビリ)とストレングス(トレーニング・栄養)】に渡るジェネラリストへ

オランダのスポーツ教育 The Athletic Skills Model④

「the athletic skills model」の画像検索結果

今回はASMの2つ目の項目、Coordinative Abilities(以下:CA)についてお伝えしていきます。

 

コーディネーションとは動きをコントロールし、協調させるために必要な能力です。この能力は6〜13歳までが最も向上すると言われております。特に成長期では、腕や足の長さと体幹の長さのバランスが著しく変わるため、この能力がネガティヴな方に傾いてしまうことは少なくありません。ASMではCAを以下の7つに分類しています。

 

Coordinative Abilities (CA)

・Adaptability(順応性)

・the ability of maintain balance(バランス能力)

・the coupling ability (synchronization of movement)(動きの時間的一致)

・the kinetic differentiating ability(運動学的区別能力)

・spatial orientation ability(空間認識)

・the ability to react(反応能力)

・rhythmic ability(リズム能力)

 

f:id:dogknt:20190517211930j:plain

CAはBMSとこのような関係にあり、CAはトレーニングの方法またはメニューを変える時期において、観察や動きの評価をするために用いられます。

 

Adaptability(順応性)

ASMにおいて、順応性は主な発達要素の1つです。この能力は年齢を問わず大切なもので、向上することが可能です。しかし幼少期の方が会得しやすいと言われています。また、バランス能力と深く関係しています。スポーツや動きにおいて、様々な環境に対応するためにこの能力が必要になってきます。また、ASMでは様々なトレーニングをすることによってこの能力を向上させることができると言われております。目指すべきゴールは同じでも、環境や負荷などが変わることが重要になります。例えば、テニスにおいて、コートが芝であっても、クレイであっても同じパフォーマンスを発揮するということになります。反復練習を繰り返すことも大事ですが、反復練習のみを行っていくと、この能力が向上することはありません。また、日本で大活躍していた選手が海外に試合に行ったり、海外に移籍した途端に活躍できなくなるのは、気候やプレースタイルなどに順応できなかったことが考えられます。技術の適応トレーニング(前の記事参照)ではこの能力の向上を狙っているとも言えます。

 

the ability of maintain balance(バランス能力)

この能力はASMにおいて、成長する過程で継続的に(最初から最後まで)関わる要素になります。男子では10-11歳、女子では9-10歳が最も成長する時期になります。この能力は男女ともに12-14歳で成熟すると言われています*1 。また、様々なスポーツや活動をすることが重要になってきます。様々なスポーツをすることで、様々な床や地面の上で、滑ることや走ること、転がること、着地することなど様々な動きが含まれるからです。また、バランスを崩す能力も必要とされています。バランスを崩す能力というのは、バランスを崩した時、しっかりと転べるか、転んですぐ起きれるか、立て直せるかという能力になります。競技者はバランスを崩すことに対し恐怖心を抱いてしまってはパフォーマンスが十分に発揮できません。バスケットボール、サッカー、アメリカンフットボールなどでは、何度も転んでる暇はありません。転んだとしてもすぐに立ち直り、しっかりと自分のポジションや陣地に行かなければなりません。そのため、競技者は転び方を知っている必要があります。

 

synchronization of movement(動きの時間的一致)

この能力は動きを効率的にシンクロさせたり、スムーズな動きをするために異なる体の部分を協調させる能力になります。6-8歳が男女ともにこの能力が最も向上する年齢になります。これは運動学的区別能力、バランス能力、アジリティ能力と深く関係しています。動きがぎこちない選手はこの能力が低い可能性があります。例えば、サッカーばかりやっている子供は上半身の発達があまりなく、足はうまく使えるのですが、腕があまり使えないという状況になります。しかし、サッカーであっても上のレベルになれば、上半身や腕の使い方も重要になってきます。そのため、幼少期には身体的な面において、偏った体の一部を酷使するのではなく、体全身をくまなく使えるようにトレーニングしていく必要があります。また、動きとしても、押すことが多いスポーツばかりをやるのではなく、引くことが多いスポーツをやったりなど、色々な体の部位、色々な動作をする事がこの能力を向上するために重要になってきます。

 

the kinetic differentiating ability(運動学的区別能力)

この能力は動きの力具合、距離(どれだけ動かすか)、タイミング、スピード、を調節する能力です。例えば、テニスやバレーボールでどのくらい奥に打ち込むか、ゴルフでどのくらい強く打つかなどの能力になります。また、程度の調節するという意味で、ボールを受け、コントロールすることもこの能力で、ボールの衝撃を素手や道具などで吸収するときに必要な能力です。この能力は動きをどれだけ正確に、効率よくできるかという能力なので、全てのCAに関係してきます。男女ともに6-7歳、10-11歳が最も向上する年齢になります。

 

spatial orientation ability(空間認識)

空間認識は環境において、対象の物体や人間、地面と関係して、姿勢や体の方向などを維持するために必要な能力です。また、対戦相手や道具、チームメイトと適切な距離を取る能力でもあります。特に自分の目で実際に見ているものよりも広い視野(実際には見えてないが、感じる能力)が必要なコンタクトスポーツではこの能力は重要になってきます。12歳前後が最もこの能力が向上する年齢だということになります。

  

the ability to react(反応能力)

反応能力は早く、そして適切な判断や行動に関係し、この能力は見ること、聞くこと、感じることで行われます。日々の練習の中で、予想できるものとできないものに対して反応することで向上することができます。ほとんどのスポーツでは、特に試合やゲームで相手の動きやフェイントなどに対して反応する必要があります。9-10歳が男女ともに最もこの能力が向上する年齢になります。

  

rhythmic ability(リズム能力)

動きのリズムというのは動きにおいて、適切なタイミングで力を入れたり抜いたりすることを言います。この能力は見たり音を聞いたりすることで行われます。次の姿勢にうつるためには必要な能力なので、アジリティと深く関係しています。ダンスやスポーツそのものをやることで身についていきます。音楽に合わせて動かすことはBMSの1つでもあります。しかし、楽器を演奏したり、音楽に関わることがこの能力を向上させるという科学的根拠はありません。ただし、雑音の中でもしっかりとパフォーマンスを発揮できるようになることは言われており、楽器の演奏は年齢問わず推奨されております。男子は10歳、女子は9歳でこの能力が最も向上すると言われております。

 

ここまでがCAになります。

次の記事ではCOMについてお伝えできればと思います。

dog.training-univ.com

 

以下が参考文献になります。

 

*1:Protovasa M. (1984); Train for Balance