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オランダのスポーツ教育 The Athletic Skills Model③

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今回はBMSとドナー/マルチスポーツの関係や実践例などをお伝えして行きます。

 

ドナー/マルチスポーツのコンセプト

まだ対象のスポーツ(専門種目/スポーツ)が決まってない時は子供たちはマルチスポーツを経験できる機会が多くなります。対象のスポーツが決まった時、マルチスポーツのつもりが結果的にドナースポーツになってしまう場合もあります。そして、ドナースポーツを子供達に強制させてはいけません。楽しまないで行うスポーツは子供達がそのスポーツをやめてしまう理由になり兼ねません。特にCAを身につけるために周りの大人たちは子供が楽しいと思えるドナーもしくはマルチスポーツを推奨して行く必要があります。自分ができそうなスポーツだけでなく、それ以外のスポーツも重要です。そのため、季節ごとにオンシーズンのスポーツも異なるため、季節でスポーツを変えて行く方法もあります。また、コーチは対象のトレーニングの練習メニューにドナー/マイナースポーツやその要素を取り組むことも1つの方法です。

 

 

ドナースポーツと対象のスポーツとの関係

ASMではドナースポーツでは対象のスポーツと部分的もしくはほとんど同じBMSの要素が含まれていると考えられています。なので、ドナースポーツと対象のスポーツにはどのBMSの要素が強いかをしっかりと分析しなければなりません。前述したようにドナースポーツでのパフォーマンス向上は対象のスポーツでのパフォーマンス向上に関係してきます。

 

 

マルチスポーツと対象のスポーツとの関係 

BMSを考える際、ASMではマルチスポーツと対象のスポーツはあまり関係ないとしています。むしろ対象のスポーツやドナースポーツにはないBMSを鍛えられるのが、マルチスポーツの役割です。直接的な関係はないからこそ、しっかりと対象のスポーツのBMSの要素を分析して、その要素以外のBMSを鍛えられるような種目が理想です。ゆえにマルチスポーツは怪我の軽減、より長い競技生活、ドロップアウトの防止、フィジカルの強化といった多様な基礎能力の発達に重要な役割を果たします。また、対象の競技に深く関わりのないBMSを鍛えることがCAやCOMの発達に寄与します。

 

 

技術の適応トレーニン

対象のスポーツの技術の側面は、集中的なアプローチ・練習によって生じ、技術の適応の過負荷が必要になってきます。これは動きを協調させる要素を含んだトレーニングをすることによって習得することができます。これは必ずしも対象のスポーツそのものをやるだけでなく、様々なスポーツをすることによって培われます。例えば、100mの陸上選手が試合同等の平らな陸上トラックをひたすら走る練習をするのではなく、上り坂を走ったり、トレイルランをしたり、プールの中で走ったりするトレーニングになります。同じ走るでも、異なる環境や刺激を与えた中で走ることで、走りのクオリティそのものにアプローチできるためです。あるテレビ番組で、某スポーツ選手が、「なるべく反復しないように練習してる」と述べています。フォームの再現性を求める練習も大事ですが、異なる環境や刺激下で同じフォームを保てる練習をしているとのことです。同じ環境下で同じフォームを繰り返してしまうと、筋肉や関節など同じ部分が摩耗してしまうなど、怪我のリスクが上がります。また100mでさえ、同じ1歩の繰り返しに見えても、足の出し方は1歩1歩ズレてしまいます。そもそも完全なる再現は人間には難しいので、その微細なズレの中で同じ1歩のパフォーマンスを出せるようなトレーニングをしているとのことでした。もう一つ例を出すのであれば、テニス選手が色んな地面に対応できるようになるために、屋内のスポーツを楽しんだりすることで、普段と異なる刺激を足の裏にあたえ、感覚を養うことができます。

 

 

BMSレーニングの実践例

これまでは、BMSが対象のスポーツにどのように関わり、ドナースポーツとマルチスポーツによってBMSにアプローチすることをお伝えしてきました。それでは、それをどうやって実践するのかを例を出してお伝えして行きます。

 

対象のスポーツはサッカーです。

 

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このように分けることができます。 

ここで、まずドナースポーツを設定します。

前述したように、ドナースポーツは対象のスポーツとBMSが似ている競技を選ぶので、跳ね回り、フィジカルコンタクトをとるという要素では柔道も候補の1つです。反対にサッカーでは培われない捕ったりする要素の強い野球がマルチスポーツの候補になります。また、技術の適応トレーニングのために、フットサルをして、地面や人数などが異なる環境でボールを蹴ることも良いでしょう。これらの別々で行うスポーツだけでなく、日々のウォーミングアップに最初の5分は音楽の中で動くことを養うためにエアロビクス(マルチスポーツという位置づけ)をし、次の5分でジャンプや着地することを養うためにバスケットボール(ドナースポーツという位置づけ)を行うなど、様々な工夫が考えられます。このように、対象のスポーツ以外のスポーツ(ドナースポーツとマルチスポーツ、技術の適応トレーニングのためのスポーツや遊び)を設定する際、必ずしもスポーツクラブなどに配属して行うというのではなく、遊びやウォーミングアップに取り入れたりして、子供達には様々な運動を行わせることが重要です。

 

これまでが基本的な動きであるBMSの考え方です。次にCAについてお伝えして行きます。 

 

以下が参考文献になります。