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オランダの鍼灸学校 海外で鍼灸師になるには

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近年、鍼灸師の方が海外に行くことが増えてきているように思います。それと同時に、海外の鍼灸の学校に通う方も増えてるのではないでしょうか?わたしもその1人です。わたしの場合はオランダという国の学校に通っています。

今の所日本人は学校で見かけないので、オランダの養成校を出られた方は少ないのではないかと思います。そこで、オランダでの養成校の仕組みとその流れについてお伝えしていければと思います。

 

オランダの資格制度

厳密にいうと、オランダには鍼灸師という資格はありません。ただ、オランダ鍼灸協会が指定する養成校を卒業することによって、施術者は傷害保険に加入でき、患者としては鍼灸の治療が保険内で受けることが可能になります。

裏を返せば資格制度がないので、個人的に傷害保険(高額になります)に入り、患者も保険がきかなくても良いという同意の元であれば、日本の免許でも働くことは可能です。いわゆるプライベートサロンのようなもので、鍼灸という行為自体は違法にはならないということです。

 

オランダの鍼灸学校

学校

オランダの鍼灸の学校は高度職業専門学校(日本でいう専門学校)という位置付けになっており、高校を卒業していることが入学の条件になります。ほぼ全てパートタイムになっており、月に数回の授業とグループワークを中心に学習していくことになります。

ヨーロッパではなかなか日本のように高校を卒業をしたら鍼灸の学校に行くという人はあまり多くはありません。そのため、多くの学生が30歳以上ですでに働いている人がほとんどです。しかし、オランダ以外のヨーロッパの国はフルタイムでの学校が多く、仕事の関係で学校にいけない人がいるので、そういった方は、パートタイムのあるオランダの学校に通います。 

英語のクラスがあるせいか、学生の半分はオランダ国外からきています

 

カリキュラム

修業年数は3-4年(下のスライド参照)になります。

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西洋基礎医学に関しては、医師と理学療法士(オランダの免許)を持っているのであれば免除ということになります。

実技は赤枠の2年間で行っていきます。クラスの人数は、基礎医学は30-40名ほどおり、そこから3つに分かれていきます。この中では鍼灸が最も人気があり、毎学年15-25名ほどになるそうです。

コースによりますが、授業はそれぞれオランダ語、英語、中国語の3クラスが存在します(学校によってはオランダ語のクラスしかありません)。

 

授業内容

授業内容は主に中国鍼灸TCMになります

わたしは逆に日本での鍼灸を知らないので詳しくはわかりませんが、腹を診るなどといったことは授業や実習でも聞いたことがありません。中国鍼灸は脈診と舌診が中心になります。教材はほぼ全て英語もしくは中国語の教材になります(クラスによる)。

基礎医学の時点で陰陽、五行論などの基礎理論を勉強していきます。実技が始まるのは専門コースを選んでからになり、そこから経絡や針の刺し方などを習っていきます。

 

臨床実習

臨床実習は東洋基礎医学の学年から課せられます。学校の1階にクリニックがあるので、そこで実習することが可能です。ただ、学生でいっぱいになるということもあり、それぞれの分野における協会が指定する外部のクリニックで実習をすることが可能です。

実習の方法としては、各スーパーバイザーの先生に最大4名の学生がつき、患者の許可が降りれば、問診室や治療室で見学したり、脈診や舌診を行ったりします。

時間は1日中もしくは午前・午後のみの半日を選択することができます。

各学年量は異なりますが、レポートが課されます。

 

使用教材

基本的に中医基礎医学を学ぶ1年目から最後まで用いるのが以下の2冊になります。

 

 

1冊目は基礎医学を中心に記載しており、学生であればどの学年もよく使われているのではないかと思います。ただ、少し内容が多く、1年目にしては難しいということで、2冊目を用いる方もいます。2冊目は基本的なことが書いており、導入部分としては適していると思います。学校の先生も、1冊目は詳しすぎるので、2冊目の方が簡単にまとめてあって良いと言ってました。

 

以上がオランダの鍼灸学校の情報でした。

随時情報は更新していきますので、よろしくお願いします。

オランダ徒手療法とは どうやって資格取得するの?

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理学療法士の方だけでなく、柔道整復師、マッサージ師、カイロプラクターの方、治療家や医療関係者の中に徒手療法を学んでいる方は多いと思います。徒手療法は色々と流派があって何が良いのかわからない方もいるのではないでしょうか。そこで、徒手療法の1つである、オランダ徒手療法についてお伝えできればと思います。

※オランダ徒手療法に関する学校、組織、協会とは関係がありませんので、受講や勉強会に関するお問い合わせはご遠慮ください。

 

オランダ徒手療法とは

オランダ徒手療法は日本での名前で、現地オランダではこのような名前はなく、ただの「徒手療法」として扱われています。それではこの「徒手療法」を学ぶにはどうすれば良いか触れて行きたいと思います。

この徒手療法はWCPT(世界理学療法協会)の下部組織であるIFOMPT(国際徒手療法協会)が定めるコースまたは学校にいくことで学ぶことができます。オランダの場合はPTの養成校を卒業した後、卒後教育としての大学院が設置されており(下記参照)、そこで学ぶことができます。オランダで学ぶ徒手療法の特徴としては、脊柱の解剖・生理学を中心にアプローチすることで、末梢に対してもアプローチするというのが特徴としてあります。また、手技としては関節モビライゼーションや関節マニピュレーションなどが用いられており、そこは世界共通なのかなと個人的には考えています。

 

オランダPTの卒後教育

上記でもお伝えしたように、オランダは卒後教育として大学院を設置しており、そこで自分の専門性を学んで行くという流れになります。その専門性は、以下になります。

オランダの卒後教育

kinderfysiotherapie(小児理学療法

geriatriefysiotherapie(高齢者理学療法

orthopedische manuele therapie(整形徒手療法)

psychosomatische fysiotherapie(心理理学療法

sportfysiotherapie(スポーツ理学療法

Bekkenfysiotherapie(産後理学療法

 

このように専門性が分かれており、徒手療法を含む、いくつかの分野では修了することで保険点数が変わり、給料に反映されます。

全てのコースは3年制であり(一部を除く)、パートタイムでの授業になります。そのため働きながら通うというのが通常のスタンスです。

これらのコースは全て修士課程という位置付けになっており、修了したらMaster(修士)の称号が得られます。 この修士課程が終わった後、研究などに興味がある方はPhD(博士課程)に進む方が多いそうです。

 

オランダの徒手療法の現状

オランダでは上記にあるように徒手療法のコースを修了することで給料に反映されるということで、多くの理学療法士徒手療法を専攻しています。しかし、人数が増えすぎてしまい、中には給料のために行く人もいて、オランダの徒手療法のレベルが下がってきていると、オランダ徒手療法協会の方は危惧しています。実際に徒手療法を受けて悪化したという患者さんもちらほら出てきている状況です。ただ、IFOMPTの協会メンバーのオランダ人の割合も高く、国際的にもレベルも高い位置にいるということは間違いなさそうです。

 

いかがでしたでしょうか?

徐々に徒手療法関連も情報を集めて行くので、随時更新していきたいと思います。

オランダのスポーツ教育 The Athletic Skills Model③

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今回はBMSとドナー/マルチスポーツの関係や実践例などをお伝えして行きます。

 

ドナー/マルチスポーツのコンセプト

まだ対象のスポーツ(専門種目/スポーツ)が決まってない時は子供たちはマルチスポーツを経験できる機会が多くなります。対象のスポーツが決まった時、マルチスポーツのつもりが結果的にドナースポーツになってしまう場合もあります。そして、ドナースポーツを子供達に強制させてはいけません。楽しまないで行うスポーツは子供達がそのスポーツをやめてしまう理由になり兼ねません。特にCAを身につけるために周りの大人たちは子供が楽しいと思えるドナーもしくはマルチスポーツを推奨して行く必要があります。自分ができそうなスポーツだけでなく、それ以外のスポーツも重要です。そのため、季節ごとにオンシーズンのスポーツも異なるため、季節でスポーツを変えて行く方法もあります。また、コーチは対象のトレーニングの練習メニューにドナー/マイナースポーツやその要素を取り組むことも1つの方法です。

 

 

ドナースポーツと対象のスポーツとの関係

ASMではドナースポーツでは対象のスポーツと部分的もしくはほとんど同じBMSの要素が含まれていると考えられています。なので、ドナースポーツと対象のスポーツにはどのBMSの要素が強いかをしっかりと分析しなければなりません。前述したようにドナースポーツでのパフォーマンス向上は対象のスポーツでのパフォーマンス向上に関係してきます。

 

 

マルチスポーツと対象のスポーツとの関係 

BMSを考える際、ASMではマルチスポーツと対象のスポーツはあまり関係ないとしています。むしろ対象のスポーツやドナースポーツにはないBMSを鍛えられるのが、マルチスポーツの役割です。直接的な関係はないからこそ、しっかりと対象のスポーツのBMSの要素を分析して、その要素以外のBMSを鍛えられるような種目が理想です。ゆえにマルチスポーツは怪我の軽減、より長い競技生活、ドロップアウトの防止、フィジカルの強化といった多様な基礎能力の発達に重要な役割を果たします。また、対象の競技に深く関わりのないBMSを鍛えることがCAやCOMの発達に寄与します。

 

 

技術の適応トレーニン

対象のスポーツの技術の側面は、集中的なアプローチ・練習によって生じ、技術の適応の過負荷が必要になってきます。これは動きを協調させる要素を含んだトレーニングをすることによって習得することができます。これは必ずしも対象のスポーツそのものをやるだけでなく、様々なスポーツをすることによって培われます。例えば、100mの陸上選手が試合同等の平らな陸上トラックをひたすら走る練習をするのではなく、上り坂を走ったり、トレイルランをしたり、プールの中で走ったりするトレーニングになります。同じ走るでも、異なる環境や刺激を与えた中で走ることで、走りのクオリティそのものにアプローチできるためです。あるテレビ番組で、某スポーツ選手が、「なるべく反復しないように練習してる」と述べています。フォームの再現性を求める練習も大事ですが、異なる環境や刺激下で同じフォームを保てる練習をしているとのことです。同じ環境下で同じフォームを繰り返してしまうと、筋肉や関節など同じ部分が摩耗してしまうなど、怪我のリスクが上がります。また100mでさえ、同じ1歩の繰り返しに見えても、足の出し方は1歩1歩ズレてしまいます。そもそも完全なる再現は人間には難しいので、その微細なズレの中で同じ1歩のパフォーマンスを出せるようなトレーニングをしているとのことでした。もう一つ例を出すのであれば、テニス選手が色んな地面に対応できるようになるために、屋内のスポーツを楽しんだりすることで、普段と異なる刺激を足の裏にあたえ、感覚を養うことができます。

 

 

BMSレーニングの実践例

これまでは、BMSが対象のスポーツにどのように関わり、ドナースポーツとマルチスポーツによってBMSにアプローチすることをお伝えしてきました。それでは、それをどうやって実践するのかを例を出してお伝えして行きます。

 

対象のスポーツはサッカーです。

 

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このように分けることができます。 

ここで、まずドナースポーツを設定します。

前述したように、ドナースポーツは対象のスポーツとBMSが似ている競技を選ぶので、跳ね回り、フィジカルコンタクトをとるという要素では柔道も候補の1つです。反対にサッカーでは培われない捕ったりする要素の強い野球がマルチスポーツの候補になります。また、技術の適応トレーニングのために、フットサルをして、地面や人数などが異なる環境でボールを蹴ることも良いでしょう。これらの別々で行うスポーツだけでなく、日々のウォーミングアップに最初の5分は音楽の中で動くことを養うためにエアロビクス(マルチスポーツという位置づけ)をし、次の5分でジャンプや着地することを養うためにバスケットボール(ドナースポーツという位置づけ)を行うなど、様々な工夫が考えられます。このように、対象のスポーツ以外のスポーツ(ドナースポーツとマルチスポーツ、技術の適応トレーニングのためのスポーツや遊び)を設定する際、必ずしもスポーツクラブなどに配属して行うというのではなく、遊びやウォーミングアップに取り入れたりして、子供達には様々な運動を行わせることが重要です。

 

これまでが基本的な動きであるBMSの考え方です。次にCAについてお伝えして行きます。 

 

以下が参考文献になります。

オランダのスポーツ教育 The Athletic Skills Model②

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前の記事でお伝えしたように、多様な運動パターンの発達は競技特有のパフォーマンスにも深く関わってきます。ASMではこの多様な運動パターンを構築するためにBasic Movement Skills(以下:BMS)を用いるわけです。

 

BMSとは、基本的な動きのことですが、幅広い運動スキルが含まれ、複雑な運動を行うためにも必要なものになります。

BMSで大事なのは、かしこまったルール上でのスポーツなどではなく、遊び感覚で楽しんで行うスポーツによって身につけられるということです。

精神的にも楽で、極端にいえばなんでもありの状態で動き回るわけですから。

研究面でも、恐れずにチャレンジすることで、trial and errorの機会を得て、失敗から学ぶことによって動きを応用させることができるようになると言われています*1

 

ASMではBMSを以下の10個の運動としています。

・Balancing and falling(バランスをとる動きと落ちる事)

・Romping and fighting(跳ね回る事と戦う事)

・Moving and locomotion(動き回る事)

・Jumping and landing(跳ぶ事と着地する事)

・Rolling, tumbling and turning(転がる事、回転する事と方向転換)

・Throwing, catching and hitting and aiming(投げる事、捕る事、狙って打つ事)

・Kicking, shooting and aiming(蹴る事、狙ってシュートを打つ事)

・Climbing and scrambling(登る事、よじ登る事)

・Swinging(揺さぶられる事)

・Music in motion(音楽の中で動く事)

  

これらの動きは決して分離して考えるものではなく、パフォーマンスにおける機能的な面での相互作用があります。

 それでは1つずつ説明していきます。

 

ASMの基本的な10個の動き

Balancing and falling(バランスをとる動きと落ちる事)

遊びやスポーツにおいて、このスキルの割合が最も高くなります。この能力は地面の上、もしくは空中で安定もしくは不安定性を調節する動きで、他の動作に移る時に必ず必要になってくる動きです。

 

Romping and fighting(跳ね回る事と戦う事)

戦うと表現しましたが、これには押したり引いたりすることも含まれ、フィジカルコンタクトなどに必要な能力になります。競り合った時に重心が上下したり、転んでも、しっかりと次の技や技術に合わせて自分の重心を運んでいく動きです。

 

Moving and locomotion(動き回る事)

これは一言で言うと移動する動きのことで、歩きやジャンプ、自転車など方法は様々です。この動きには加速や減速も含まれます。

 

Jumping and landing(跳ぶ事と着地する事)

この動きは跳んだ時に、距離、高さ、着地のために姿勢を調節する動きです。神経学的な調節が必要になってきます。

 

Rolling, tumbling and turning(転がる事、回転する事と方向転換)

この動きは前額面、矢状面、水平面において回転や方向転換を調節する動きです。

 

Throwing, catching and hitting and aiming(投げる事、捕る事、狙って打つ事)

主に上肢を使って行われる動きで、文字通り、投げたり、ボールに合わせて衝撃を吸収して捕球するという動きです。

 

Kicking, shooting and aiming(蹴る事、狙ってシュートを打つ事)

主に下肢を使って行われる動きで、文字通り、蹴ったりボールに合わせてシュートを打つ動きです。この動きはフェイントなど、競技特有の専門の動きに繋がってきます。

 

Climbing and scrambling(登る事、よじ登る事)

歩きや走りと違って、この動きは上肢が固定されて体が動いていきます。また、ロープや壁など物を介して行われる動きです。

 

Swinging(揺らす事)

この動きは座ったり立ったりした状態でブランコや橋などの上で揺らす動きです。

 

Music in motion(音楽の中で動く事)

これは様々なリズムに合わせて動くことです。リズム通りに動くことは水泳から球技まで全ての競技に要求されます。

 

 

専門化の時期

 少し話を戻しますが、ASMが言いたいのは、決して対象のスポーツはやるなと言っているわけではありません。あくまで、特に幼少期はその競技特有の練習よりもBMSを考慮すべきと言うことです。

しかし、競技によってはBMSとその競技特有の練習の割合が変わってきます。幼少期において、競技特有の練習の経験がかなり重要とされている、新体操、体操競技、水泳、フィギュアスケート、飛び込みでは、競技特有の練習の割合が他競技に比べて多くやるべきと言われています。勿論、これらの競技でもBMSは重要になってきます。理由としては、その競技に必要とされる柔軟性や水や高所などへの恐怖心への対応が幼少期の方が圧倒的に容易に会得できるからです。これらの練習は10歳までに行うべきと言われています*2

 また、運動学習にも適齢期というものがあり、7歳までが最も運動学習をするには適していると言われています。外見だけでなく、運動能力も年齢に合わせて発達していくので、動きからも運動能力における成長の早さを判断することができます。

 

BMSの区分

さて、では本格的にBMSの話に入ってきます。BMSの10個の動きに関しては前述した通りです。これらのBMSはCA(白枠)とCOM(黒枠)によって深く関係しています。

 

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そしてこのBMSは大きく分けて考えると、4つのカテゴリーに分けられます。

・Sport-specific basic movement skills スポーツ特有のBMS

・Sport-adaptive basic movement skills スポーツに応用するBMS

・Sport-related basic movement skills スポーツに関係したBMS

・Sport-supporting basic movement skills スポーツを支えるBMS

 

この4つのスキルはどれか1つを突出させるというより、バランスよく発達しているかをコーチ、トレーナー、両親など周りの人がしっかりと確認していく必要があります。

 

 

Sport-specific basic movement skills スポーツ特有のBMS

このスキルは対象の競技に特化した基本的な動きのスキルになり、環境と道具に深く関わってきます。環境でいうと、スケートの選手であれば、氷の上での動くこと(氷の感覚をもとに)、水泳選手であれば水中での動くことがこれにあたります。また、道具でいうと、テニスでいうラケットを扱うこと、野球でいうグローブを扱うことがこれにあたります。これらのスキルはその対象のスポーツの練習や試合によって身につけることができます

 

 

Sport-adaptive basic movement skills スポーツに応用するBMS

上記のスキルはその競技における環境や道具にどれだけ特化し、感覚を自分のものにできるかというものに対し、このスキルはその感覚を、環境や道具の変化に対しどれだけ順応できるかというスキルになります。例えば、サッカーでいう雨の日の濡れた芝グラウンドでしっかり順応できるかどうか、体操競技でいう、試合会場による鉄棒などの道具の素材の違いにしっかりと対応できるかどうかといったスキルになります。これもその競技内での変化への対応なので、対象のスポーツを行うことで身につけることができます。ただし、少し工夫が必要です。というのも、意識しないとこれらの環境の変化は作りにくいものもあるからです(これらの変化は意図して生じているわけではないので)。恵まれ過ぎた環境で行う選手は特に注意が必要です。

 

 

このスキルは対象のスポーツと間接的に関係し、異なる環境や道具での基本動作を行うスキルになります。例えば、アメフトでいうと、アメフトのボールを用いて投げるのはアメフトに特化した「投げる」という動作ですが、ソフトボールを投げるのは同じ「投げる」ですが、アメフトのスキルとは異なります。ですが、このソフトボールによって培われた「投げる」というスキルはアメフトにもいきてきます。このように詳細なスキルの違いはあれど、異なる環境や道具における、基本動作を行うというスキルです。このスキルはドナースポーツ(前の記事参照)によって身につけることができます

 

 

Sport-supporting basic movement skills スポーツを支えるBMS

このスキルは対象のスポーツとほとんど関係ない動きを行うスキルになります。例えば、バドミントンの選手にとってのボールを蹴る動きだったり、サッカー選手にとってのボクシングなどになります。このように一見ほとんど関係ない動きですが、「スポーツをする運動神経」として深く関わってきます。というのも、バドミントンはシャトルを見てそこに照準を合わせてラケットを当てに行くスキル、つまり目と上半身を協調して動かす能力が必要とされます。しかし、自分の体を運ぶのは下半身であり、その目と下半身を協調させて自分を運んで行くスキルも必要になってきます。そこで、ボールを蹴る動きは目と下半身を協調させるという意味で必要な動きになるのです。このスキルはマルチスポーツ(マルチスポーツ)によって身につけることができます

 

ここまでで、BMSの細かい区分についてお伝えしました。

次の記事では、BMSの実践について書いていきたいと思います。 

 

以下が参考文献になります。

 

*1:Sara D. L. Santos1, Daniel Memmert, Jaime Sampaio, Nuno Leite (2016); The Spawns of Creative Behavior in Team Sports: A Creativity Developmental Framework

*2:Joris Hoeboera, Sanne De Vriesa, Michiel Krijger-Hombergena, René Wormhoudtc, Annelies Drentd, Kay Krabbend, Geert Savelsberghd (2016); Validity of an Athletic Skills Track among 6- to 12-year-old children

オランダのスポーツ教育 The Athletic Skills Model①

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今回はオランダのスポーツ教育(タレント発掘)についてお伝えしていきます。

オランダという国は人口が約1700万人しかおらず、日本のように競争主義の方法では他の国には勝てません。1人1人にしっかりと教育していくのがオランダのスタイルです。

 

そこで、近年オランダは新しいスポーツ教育におけるプログラムを作成しました。

その名もThe Athletic Skills Model(以下:ASM)です。

この記事ではこのプログラムができた背景をお伝えしていきます。

 

近年の子供達の運動環境

近年、運動する環境が目まぐるしく変わり、子供の運動量は30年と比べて減少しているという現状があります。また、この環境によって運動する機会が減ることで、肥満になる子供も増えているとWHOは提唱しています*1。子供の運動発達の専門家である、Brian Grasso氏は、子供の時期は運動を行う引き出しを増やすことが大切だと言っています。しかし近年では、子供にやりたいことをやらせるという親が増え、数学が好きな子は数学ばかり、サッカーが好きな子はサッカーばかりやらせるようになり、専門的トレーニング・教育の開始が若年化してきています*2

 

早期の専門的トレーニン

もし、1つのスポーツしかやらないで育つと、運動能力が限られた方面でしか発達せず、そのほかの一般的な運動スキルは制限されてしまうと言われております*3

しかし、これによる良い面もあります。早期に1つのスポーツを行うことによって、そのスポーツのパフォーマンスが早期に高いレベルにも達することも可能になります*4

 

全般的に運動するメリット

様々な運動をすることで、機能的動作(体の使い方)が良くなることが示唆されています。これをphysical intelligence(身体的知能)と呼んでいます。このphysical intelligenceが低いとその競技特有のスキルの上達はできても、それを応用したりする動きが不十分になる可能性が高いと考えられています。

さらに、ASMのキーポイントとして、9-12歳までの時期に身体的にも、精神的にも様々な事を経験させることとしています。また、18歳からその競技特有の練習に集中しても問題はないとしています。

適切な時期に適切な能力(physical intelligence)を身に付けることで、最終的に早期に専門的トレーニングを行った者よりも高いパフォーマンスを身に付けることができると考えられています。

 

・The Athletic Skills Modelにおける成長段階

ASMは運動能力を6つの成長段階に分類しています。

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※英語のathleteは日本語のアスリートと違って必ずしもプロレベルの競技者だとか、そのスポーツで食べていく人を指しているわけではありません。

 

ここまでで、子供に対して行うべきは多角的な発達を促すことがわかったと思います。

 

学習の移行

動きにおいて、スポーツ間の類似している部分は異なる部分より大きいことが良くあります。そのため、運動能力の移行は同じスポーツ間と同じくらい異なるスポーツ間でも行われます*5。故に、異なるスポーツや運動・活動が対象のスポーツのパフォーマンスに良い影響を与えるのか、もしくは悪い影響を与えるのかを判断するために、スポーツ間の類似している部分と異なる部分がそれぞれなんなのかを理解する必要があります。そこで、ASMではマルチスポーツとドナースポーツの2種類のスポーツが存在します。マルチスポーツというのは、遊びに焦点を当て、2種目以上の種目を楽しむ事をモットーに行うことで、ドナースポーツは対象のスポーツのパフォーマンスの向上に焦点を当てて選択された種目で、ドナースポーツは対象の競技の要素になるように選択されることです。

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Movement transfer 動きの移行

運動能力は動きやスポーツ、またはその技術間で移行が行われます。この動きの移行はバイオメカニクスや解剖学的視点から見るフォームの中で類似している点を探します。例えば、フリスビーの投げる動作とテニスのバックハンド、バスケットボールのディフェンスとサッカーのディフェンス(1対1)は動作が似ています。ASMはスポーツ間での動きの移行、特にBMSにおける移行に深く関係していきます。同じBMSはドナースポーツより学習されることもあります。また、異なるスポーツの実施によって試合状況を解決する能力(対応能力)を身に付けることができます。というのも、同じ競技でも状況によって様々な動き、フォームが求められます。そこで、色々なスポーツの経験によって様々な動きを学習していることによってそれに対して対応できるからです(動きの移行によって)。

 

Perceptual transfer 知覚の移行

この移行は戦術的な意識や、戦術パターンの認識、空間認知、意思決定をも含みます。これらは主に視覚情報によって行われます。例えば、ホッケーの相手陣に切り込んでゴールに近づいていく戦術はサッカーに似ています。そのためこのような競技間で、1つの競技経験が他の競技において知覚の移行が行われます。また、チームスポーツでは時間や空間の認識に視覚情報は欠かせません。なので、色々なポジションをおこなわせる事が重要になってきます。なぜなら、サッカーでいうと、ストライカーのポジションばかりやっていると、いざディフェンダーによってディフェンスをされた時にディフェンダーでの視点や空間の認識がないため、突破口の引き出しが少ないということに陥るからです。この知覚の移行によってプレイヤーは環境の情報を即座に認識し、パフォーマンスに関わる意思決定(プレーの判断)をして行きます。研究においても、オーストラリアンフットボールの選手をプレーの判断が良い人と悪い人に分け、プレーの判断が良い人は悪い人に比べ、子供の時に様々なスポーツ、特に”果敢に攻めるスポーツ(バスケットボール、ホッケーなど)“をやっていたという報告があります*6。2014年の研究でもサッカー選手にとってこの上記のスポーツはプレーの判断に良い影響を与えるとしています*7。バレーボールでは効果が薄いようなので、種目は選んでいく必要があります。

 

 

Conceptual transfer 概念の移行

この移行はスポーツのルールや、環境、戦略によって行われます。例えば、ハンドボールとテニスは試合会場によって地面が異なり、体操競技飛び込み競技は会場が静まったところから、自分のタイミングで動き始めます。このように競技特性というより、環境に焦点を当てて比較して行きます。

 

 

Physiological or Physical conditioning transfer 生理学・身体的状態の移行

これは特に競技特有の練習やトレーニングを行うことで、移行が行われます。ASMではconditions of movement(以下:COM)として、アジリティ、安定性、柔軟性、パワー、持久力、その他coordinative abilities(以下:CA)コーディネーション能力を定めています。この中で特にスタビリティやパワーといったフィジカル要素の部分は一般的に他競技に良い影響を与えます。例えば、自転車で身につけた持久力のスピードスケートへの移行などです。また、子供にとっては季節ごとのスポーツを行ったほうが1年中という観点からフィジカル面を維持できるので、対象のスポーツがオフシーズンの時は逆にその季節の競技を行うことが推奨されます。

 

Competence transfer 適正・能力の移行

この移行はスポーツによって培った考え方や、精神のことを指します。知識、考え方、スキルといったものは他のスポーツや文化などによって学ぶこともできます。ASMが言うこれらの精神やマインドというのは、自分のメンタルコントロールや、相手へのリスペクト、コミュニケーションといったものです。以前に獲得したこれらの精神やマインドは次の新しいスポーツにも移行できると言われています*8

 

 

さて、様々な競技を経験することのメリットがわかりました。それでは、これらのメリットをどのようにして用いていくのでしょうか?

ASMはスポーツや動き、体育やリハビリなどに関わる膨大なプログラムです。

 

ASMには大きく3つの概念があります。 

ASMの3つの概念

BMS: Basic Movement Skills

・CA: Coordinative abilities

・COM: Conditions Of Movement

これらの3つにアプローチすることがASMの教育になります。

 

それでは次の記事ではBMSについてお伝えして行きます。 

 

以下が参考文献になります。

*1:Mercedes de Onis, Monika Blössner, Elaine Borghi (2010); Global prevalence and trends of overweight and obesity among preschool children

*2:Brad Ferguson, Paula J. Stern (2014); A case of early sports specialization in an adolescent athlete

*3:Joe Baker(2003); Early Specialization in Youth Sport: A requirement for adult expertise?

*4:Laura Capranica, Mindy L. Millard-Stafford(2011); Youth Sport Specialization: How to Manage Competition and Training?

*5:J Côté, J Baker, B Abernethy (2007); Practice and play in the development of sport expertise

*6:Berry, J; Abernethy, B; Côté, J (2008); The contribution of structured activity and deliberate play to the development of expert perceptual and decision-making skill

*7:Joe Causer, Paul R. Ford (2014); Decisions, decisions, decisions”: transfer and specificity of decision-making skill between sports

*8: Darren J. Burgess, Geraldine A. Naughton (2010);  Talent Development in Adolescent Team Sports: A Review

鍼灸の効果 術後の疼痛のマネージメント

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今回は手術における術創部の疼痛に対する鍼灸の効果を検証した論文レビューを行います。

手術を行った患者に対して、術創部の疼痛に対して鎮痛薬を投与する場合があります。しかしながら、鎮痛薬にも副作用があるので、できれば避けたいところです。

そこで鍼灸を行うことで、その疼痛を軽減できれば、鎮痛薬の量を軽減もしくは投与しなくても良くなるかもしれません。

そこで、今回は2つの論文を読んでまとめてみました。

  1. 鍼灸によって術後の疼痛を軽減できる可能性はあるかもしれないが、あまり確定的な知見がなく、鍼灸特異的な効果は現在のところ見当たらない
  2. 鎮痛薬の服用量も軽減できるという論文もあるが、知見が別れるところで、エビデンスレベルは低いと考えられる
  3. TEASに関しては疼痛と服用量共に軽減できると示唆されており、鍼灸よりもTEASの方が良いのではないか

 

1つ目の論文は、2016年に発表されたRCT(ランダム化比較試験)を集めたメタアナリシスの論文になります。

journals.plos.org

 

内容は手術における術創部の疼痛のマネージメントについてです。

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本来、手術後に術創部の疼痛を訴える患者さんに対してはオピオイド鎮痛薬やモルヒネというものが投薬されます。ただし、この薬には当然ですが、副作用が伴います。

副作用

・眠気

・せん妄、幻覚

・呼吸抑制

・口内乾燥

・排尿障害

・ミオクローヌス などなど

 

そのため、今回の研究では鍼灸、もしくはそれに類似する治療によって、この治療をコントロールできるか実験したというわけです。

 

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対象は18歳以上の方を対象としています。

手術を行い、その後疼痛を抑制するために鍼灸治療を行った人を対象とします。

コントロール群の被験者は298名、治療を受けた被験者は384名になります。

評価方法として、術後1日目の疼痛スコアとオピオイド鎮痛薬の服用量で比較しています。

疼痛スコアはVASもしくはNRSにて評価を行っています。

また、このメタ解析は11個の論文にて構成されています。

 

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治療は手術の前もしくは後、もしくは両方にて行われ、施術を行った場所は上記の通りになります。

また、手術の場所ですが、1つの論文は腰部に統一されていましたが、このメタ解析に集められた論文では特定の部位ではなく、様々な部位にて行われています。

 

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結果ですが、鍼灸群では、オピオイド鎮痛薬の服用量は変わりありませんが、疼痛スコアが有意に減少しています。しかし、鎮痛薬の服用量を見ていただくとわかるのですが、増加している論文も見受けられ、疼痛の減少はこの投薬によって引き起こされたものの可能性もあるため、あまり鍼灸の効果は期待できそうにありません

電気鍼灸では、疼痛スコアも服用量も変化がないので、これも期待できないでしょう。

 

唯一効果が表れているのがTEASです

TEASを扱った論文は5つあり、P値も低い論文がほとんどですので、信頼性は高いという結果になっています。

疼痛スコアも服用量も減少していますので、鍼灸群のように、服用によって疼痛が軽減された可能性も低そうです。

 

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まとめると、鍼灸と電気鍼灸には術後の疼痛を抑制する効果は薄いことが考えられます。

 

一般的に鍼灸には疼痛を和らげる効果があると言われているので、今回のこの結果に関しては、術後すぐに鍼を刺すということで、心理的な面も影響しているかもしれません。

 

ここで、2つ目の論文を見て見ましょう。

Acupuncture for Acute Postoperative Pain after Back Surgery: A Systematic Review and Meta‐analysis of Randomized Controlled Trials

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/papr.12208

 

この論文は2015年の論文で、腰部の手術に限定して実験を行っています。

この論文もメタ解析を用いており、厳選された5つの論文を引用しています。

 

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これらの論文では、通常の鍼灸と、ダミー鍼灸、従来の方法(論文に詳細な記載はありませんでしたが、リハビリテーションなどと記載されておりました)と、治療を行わないという群に分けて行いました。

ダミー鍼灸に関しては、経絡と全く関係ないところに鍼を指すという方法でした。

 

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比較の方法ですが、鍼灸とそれぞれの群で効果の差を比較しています。

結果ですが、鍼灸を行うことで手術後24時間以内での疼痛の軽減が見られました。

ただ、従来の方法(鍼灸以外)との効果の差はなく、鍼灸の特異的な効果かと言われれば、少し疑問が残ります。

服用量の点でも、鍼灸とダミー鍼灸に差がなく、心理的な面や、経絡治療云々よりも鍼を刺すこと自体に効果があるのかもしれません。従来の方法とも効果の差がなく、鍼灸の効果は示しているものの、鍼灸でなければいけない理由がないといった状況です。

 

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この2つの論文をまとめると、

術後の疼痛のマネージメントに対する鍼灸は明確なエビデンスがありませんが、TEASといった代替の方法で行うことが現時点では有効であると言えるのかもしれません。

今後の期待としては、論文数だけでなく、部位ごとや手術の種類によって分類できるようになることではないかと個人的には思います。

腰部のスペシャルテスト集①

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腰痛は様々な要因が考えられますが、まず腰痛を評価する際、そもそも腰部〜仙骨の部分の状態を把握する必要があります。

腰仙部は関節部位だけでなく、腰神経叢など複雑な解剖的一面を持っています。

そのため、一言に腰の症状と言っても神経からくるのか、筋なのか、関節なのかなど、考えなければいけないことがたくさんあります。

これらを鑑別するためにスペシャルテストが存在しますが、これらには感度や特異度などが存在します。最新のエビデンスに基づき、これらの数値を発見でき次第、記載してありますので、参考にして頂ければと思います。

 

 

Lumbar extension/side bending/ rotation Combined Motion 腰椎伸展側屈回旋動作テスト

目的:関節の動きの量と複合運動による疼痛の有無を確認する

患者の開始姿勢:立位

セラピストの開始姿勢:検査する側の反対に立つ

セラピストの手:右に立った場合、右手は患者の左肩、左手は親指を検査したい腰椎の位置に当て、動作の支点とする。

動作:セラピストが自動介助にて患者の伸展、左回旋・側屈を誘導する

陽性:腰痛や下肢の痺れや疼痛があると陽性

Note:これは腰椎の椎間関節に負荷を掛け、椎間関節の状態を見るテストになります。よって腰痛が誘発された場合は椎間関節に異常があることを示唆します。また、下肢の痺れや疼痛は腰椎での神経の絞扼が考えられます。

カッパ係数:0.29 (0.06-0.52)

Sensitivity 感度:100%

Specificity 特異度:22%

 

 

Lumbar Posterior Shear Test 腰椎後方剪断テスト

目的:腰椎の不安定性(instability)の評価

患者の開始姿勢:立位にて両手で下腹部を抑える

セラピストの開始姿勢:患者の斜め後方〜横

セラピストの手:片方の手で検査する腰椎の棘突起を中指、1つ下の椎体の横突起を示指と環指、仙骨を手掌で添える。

動作:セラピストが上記とは反対側の手で患者の下腹部を抑えている手を押す。

陽性:症状が再現したり、過度な椎体の動きがみられたら陽性。

Note:各椎体を検査し、椎体ごとで比較する。

カッパ係数:0.35(0.06-0.52)

Sensitivity 感度:57%

Specificity 特異度:48%

 

 

Prone Instability Test 腹臥位不安定性テスト

目的:腰椎のセグメント毎の不安定性を評価

患者の開始姿勢:下肢全体はベッドからはみ出るように腹臥位になる。(ASISがベッドの端)

セラピストの開始姿勢:患者の左右のどちらか

セラピストの手:片手の小指球(hypothenar eminence)の尺側を検査するセグメントの椎骨に触れる。この時手関節はやや伸展位。前腕は腰椎に対して垂直に位置する。反対の手はサポートをするように添える。

動作①:セラピストは椎骨に対し、後前方に圧力を加える。

動作②:動作①で疼痛があれば、患者に両下肢を床から持ち上げてもらい、再度圧を加える。

陽性:動作①で疼痛があり、動作②で疼痛がなければ陽性

Note:他のテストと組み見合わせて評価すべき。

カッパ係数:0.69-0.87

Sensitivity 感度:61%

Specificity 特異度:57%

 

 

Prone Lumbar Extension Test 腹臥位腰椎伸展テスト

目的:腰椎の不安定性を評価

患者の開始姿勢:ベッド上で腹臥位

セラピストの開始姿勢:患者の足元に立つ

セラピストの手:患者の下肢の遠位部を把持する

動作:セラピストが他動にて患者の両下肢を持ち上げる(ベッドから約30cm)

陽性:持ち上げた時に疼痛が生じ、降ろしたら改善したら陽性

カッパ係数:0.76 (95% CI: 0.46, 1.00)

Sensitivity 感度:84%

Specificity 特異度:90%

 

 

Femoral Nerve Tension Test 大腿神経テスト (Ely’s Test)

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目的:大腿神経の疼痛や状態(irritation)を評価

患者の開始姿勢:ベッド上で腹臥位

セラピストの開始姿勢:患者の左右どちらかに立つ

セラピストの手:患者から見て頭側にある手(cranial hand)で検査側の下腿遠位を把持し、尾側にある手(caudal hand)で膝を下から把持する

動作:他動にて検査側の膝を90°屈曲させ、股関節を完全伸展位まで持ち上げる

陽性:持ち上げた時に大腿前面の疼痛があれば陽性

Note:このテストは大腿直筋にも関係してくるので、他の神経テストと組み合わせて行う必要がある。

カッパ係数:-

Sensitivity 感度:-%

Specificity 特異度:-%

 

 

The Slump Test スランプテスト

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目的:脊柱管(central spinal canal)での神経絞扼や硬膜組織(dural tissue)の評価

患者の開始姿勢:テーブルの端に座り、膝の後面がテーブルにくっつける。

セラピストの開始姿勢:患者の左右どちらかに立つ。

セラピストの手:患者から見て背側の手を頸部におく。

動作:まず背筋を正してもらい、その時点で症状がないか聞く。そして自動にて前を向いたまま胸椎と腰椎を最大屈曲してもらう。そしたら上位胸椎に置いてある手で胸腰椎を屈曲方向に圧迫する。この圧迫を維持しながら、自動にて頸椎も最大屈曲してもらい、そこからもう片方の手で頚椎を屈曲方向に圧迫する。この2箇所の圧迫を片方の手だけで圧を加えられるように手の位置を変える。そしたらそのまま自動にて片側の膝関節を屈曲位してもらう。この時症状と角度を記載。さらに同側の足関節を自動にて背屈してもらう。この時に症状を聞く(最終肢位)。これらの圧迫と動作を維持しながら患者は自動にて頸椎をニュートラルに戻す。

陽性:最終肢位までに下肢に症状が出るもしくは膝が完全伸展できない。さらに、最終肢位の症状から頸椎を戻した時に症状の軽減、膝が完全伸展できなかった場合はさらに伸展が可能であれば陽性。

Note:治療方針としては神経や硬膜組織のモビライゼーションが考えられる。

カッパ係数:0.69

Sensitivity 感度:84%

Specificity 特異度:83%

 

 

Straight Leg Raise (SLR)

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目的:下肢の症状の原因が腰椎ヘルニアにより髄核が神経を圧迫しているか否かを評価、また腰神経叢(Lumbosacral neural tissue)のメカニカルな感度を評価。

患者の開始姿勢:背臥位は

セラピストの開始姿勢:患者の左右どちらかに立つ

セラピストの手:患者から見て頭側の手は骨盤を抑えてるか、SLRの補助として膝の辺りを把持する。尾側の手は足関節もしくは下腿の遠位を把持する。

動作:セラピストは他動にて検査側の股関節をゆっくり屈曲させる。この時膝関節は完全伸展位のまま。症状が出た時の角度の症状を記録。更に他動にて足関節の背屈や頚椎の屈曲を加えることで神経に対してストレスを加えることができる。

陽性:腰から下肢の範囲で神経的な症状もしくは疼痛を訴えたら陽性(ストレッチ等で筋の影響を取り除いていることが前提)

Note:ハムストリングスの短縮によって検査ができなかった場合、ストレッチなどをしてから検査すると良い。股関節屈曲が15°を超えた場合、筋による緊張も考慮しておく必要がある。股関節が30°以下で症状を訴えた場合、ヘルニアによる影響が強いと考えられる。また、健側を屈曲した時に症状が出るようであれば、同様にヘルニアの影響を強く示唆する。

カッパ係数:-

Sensitivity 感度:91%

Specificity 特異度:26%

 

 

Active Straight Leg Raise Test (Active SLR)

目的:下肢からの腰仙部への影響と、腰仙部の動的安定性を評価

患者の開始姿勢:背臥位

セラピストの開始姿勢:患者の左右のどちらかに立つ

セラピストの手:骨盤の前方もしくは後方を左右から抑える

動作:片方ずつ約20cmずつ下肢を挙げてもらう(股関節屈曲)。その後、セラピストが骨盤を抑えた状態で再度施行。

陽性:下肢の挙上が難しかったり、疼痛を訴え、セラピストが骨盤を抑えた状態でこれらの症状が軽減したらたら陽性

カッパ係数:0.53-0.70 (95% CI: 0.20, 0.84)

Sensitivity 感度:87%

Specificity 特異度:94%

 

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