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オランダで鍼灸師としての起業・開業について

現在、オランダではフリーランスビザへのハードルが低く、日本で鍼灸師の免許を取得された方が何名かオランダで起業・開業されています。そこで、オランダの鍼灸事情と競争に勝ち抜くにはどうすれば良いかを僕なりの考えのもとお伝えできればなと思います。

      「acupunctuur」の画像検索結果

 

オランダでの免許制度について

オランダでは厳密な鍼灸の免許というのはございません。 (下記の記事参照)

dog.training-univ.com

 

なので、中国人を中心とした自国で免許を取得した鍼灸師の方が数多くいます。

しかし、日本の免許で働くことは可能ではあるものの、施術は保険適応外になります。

反対に、オランダの主に理学療法士が行っているドライニードリング(鍼は日本の鍼が主に使われています)は保険適応内なのです。

オランダ人はあまり保険外にまでお金を支払うのを嫌がります。ましてや、得体のしれない外国人が、得体の知れない鍼を使って治療するというのであれば、なおさらです。

オランダ人からしても、ドライニードリングという保険適応内で治療が受けられるシステムがあるのに、わざわざ高いお金を払って鍼灸治療を受ける必要がありません。

 

 

ドライニードリングとは

ドライニードリングとは西洋医学(主にトリガーポイント)を元に行う鍼治療のことで、1週間前後の講習会を受ければ取得できる資格です。

※ただしオランダの医師または理学療法士の免許が必要です。

鍼灸を学んでいる方からしたら全然違うのかもしれませんが、患者さんからしたら鍼灸とドライニードリングの違いはわからないのです。

そして残念ながら、鍼灸よりもドライニードリングの方が知名度としては高いという現状があります。なぜなら、理学療法のクリニックで保険適応内で行われるため、そもそもの施術をされた方の数が多いからです。

 

鍼灸師として起業・開業し生き抜くためには

ドライニードリングとの差をつける

前述したように、ドライニードリングとは知名度、保険による料金では鍼灸の方が劣ってしまいます。しかし、鍼灸にこれほどのマイナスの要素があるのに、僕が行っている実習先では多くの患者さんが来院されます。これは鍼灸がドライニードリングよりも優れていると認識されている証拠だと思います。

鍼灸クリニックに来院される患者さんは揃ってこう言います

「ドライニードリングは痛い」

ドライニードリングをyou tubeとかで検索するとわかると思うのですが、結構痛そうな刺し方をしています。ドライニードリングの目的がしっかりとトリガーポイントを中心にアプローチするやり方ですので、当たり前といえば当たり前ですが。

そのため、痛いのが嫌、でも鍼治療を受けたいという患者さんも中には結構いるのが実習をしていて率直な感想です。

そのため、鍼灸ドライニードリングより痛くないというイメージを広めることが大事かも知れません。

 

他の鍼灸師との差をつける

前述したように、日本人だけでなく、中国人の方もオランダで治療院を起業・開業しています。そのため、ドライニードリングとの差をつけるだけでは他の鍼灸師との差は変わらないので、今度は鍼灸師間との競争になります。まあこれは日本でも変わりませんが。

しかし、オランダにいる鍼灸師の多くはアムステルダムに治療院をおいています。なぜなら、アムステルダムではオランダ語が喋れなくても英語だけで働けるからです。

オランダ人の英語力には脱帽ですね。

しかし、田舎では勿論、アムステルダム内でもオランダ語が喋れる鍼灸師は限られてきます

オランダ人でも、例えば病院に行って治らなくて鍼灸を受けにきたという患者さんなんかは病院での出来事を説明します。そこでの医療の専門用語だったり、病院で言われたことを英語で正確に言えるのはオランダ人といえでも、あまり多くはありません。

鍼灸師オランダ語が全く分からないとそこで不信感を持ってしまい兼ねません。オランダの公用語はあくまでオランダ語なので。たとえ英語で説明できる患者さんでも、オランダ語で話しかけるとの、英語で話しかけるのとでは反応がやっぱり違うなと住んでいて思います。

なので、オランダ語を喋ることができるというのは1つ武器になるかも知れません。

 

いかがでしたか?日本の鍼灸の良い部分をオランダで広められると良いですね!
僕も日本の鍼灸には興味があるので、ぜひ情報などくれたら嬉しいです!

股関節のスペシャルテスト集①

「hip joint」の画像検索結果

今回は股関節のスペシャルテストについてです。

 

 

Illiotibial Band Length Test 腸脛靭帯長テスト

「Iliotibial Band Length Test」の画像検索結果

目的:腸脛靭帯の長さを評価

患者の開始姿勢:検査する足を上にして側臥位

セラピストの開始姿勢:患者の背部に立つ

セラピストの手:患者の頭側の手は腸骨稜(iliac crest)に当てる。尾側の手は検査する下肢の膝を把持する。

動作:検査する膝を90°屈曲し(別法では膝関節は完全伸展位)、他動にて股関節10°伸展、最大外転させる。この時の足から体幹を結ぶ線の角度を維持しながら他動にて股関節を内転させる(床に向かって降ろしていく)。

陽性:股関節の内転が10°以上行けば正常、行かなければ陽性。

Note:セラピストは自身の大腿で骨盤を抑えるとより安定して評価できる

カッパ係数:0.90(95%CI0.93, 0.98)、別法:0.91

Sensitivity 感度:-%

Specificity 特異度:-%

 

Flexion, Adduction, Internal Rotation (FADIR) Impingement Test 屈曲内転内旋テスト

「Flexion, Adduction, Internal Rotation (FADIR) Impingement Test」の画像検索結果

目的:大腿骨頭と寛骨臼間(腹側・頭側)のインピンジメントによる疼痛、そして股関節唇損傷の病態を評価するため

患者の開始姿勢:背臥位

セラピストの開始姿勢:検側側に立つ

セラピストの手:検側の下肢の膝と足関節を支持する

動作:セラピストが他動にて股関節と膝関節を90°にする。股関節の90°屈曲を維持したまま、最大限他動にて内転・内旋させる。もし陰性であれば、股関節を最大屈曲位にして再度行う。

陽性:グローインの部分、臀部後方、股関節の側方に患者が訴えていた様な疼痛が生じれば陽性。

Note:研究に参加した患者は関節内になんらかの問題がある患者で、関節炎の方は含まれていません。

カッパ係数:0.58

Sensitivity 感度:78%

Specificity 特異度:10%

 

 

Hip Scour Test 股関節捻転テスト

「Hip Scour Test」の画像検索結果

目的:股関節および股関節周りの組織を評価するため(変形性関節炎の評価)

患者の開始姿勢:背臥位

セラピストの開始姿勢:検側側に立つ

セラピストの手:両手にて検側の下肢を把持する

動作:まず、抵抗感を感じるまで検側の股関節を他動にて屈曲・内転させる。地面に対して垂直に負荷をかけながら、屈曲、外転と股関節を2回回す(時計回り)。陰性であれば、今度は大腿骨に対して長軸上に負荷をかけながら再度行う。

陽性:グローイン、股関節、大腿部、臀部に訴えていた疼痛が再現されれば陽性。

Note:以下の5つの評価のうち、4つ以上に当てはまったら変形性関節炎の可能性が91%になる。

1) スクワットを行うと症状が悪化する

2) このテストにてグローインもしくは股関節外側に疼痛が見られる

3) 自動での股関節屈曲によって股関節外側に疼痛が見られる

4) 自動での股関節伸展によって股関節に疼痛が見られる

5) 他動での股関節内旋が25°以下

カッパ係数:0.52(変形性関節炎に対して)

Sensitivity 感度:62%

Specificity 特異度:75%

 

 

Thomas Test トーマステスト

「Thomas Test」の画像検索結果

目的:股関節屈筋群の筋長を評価するため

患者の開始姿勢:背臥位で膝が出るくらいまで尾側に下がる

セラピストの開始姿勢:下肢側(尾側)に立つ

セラピストの手:両手および胸で評価を行うための動作を行う

動作:開始肢位より他動にて両股関節を最大屈曲する。検側と反対側の下肢を支持し、検側の下肢をベッドに着くまでゆっくり降ろしてもらう。この肢位から同側の膝関節を90°屈曲する。ベッドに着かなかった場合、同側の股関節を外転する。

陽性:膝関節を屈曲したときに同側の股関節が屈曲したら大腿直筋の短縮を疑う。股関節を外転したときに下肢がベッドについた場合大腿筋膜張筋の短縮を疑う。外転しても変化がない場合は腸腰筋の短縮を疑う。

Note:念のために同側の膝関節を伸展してベッドに着くかを確認すると良い。着けば大腿直筋の短縮の可能性の方が高い。

カッパ係数:-

Sensitivity 感度:-%

Specificity 特異度:-%

 

 

Hip Passive Rotation Range of Motion Test (Supine) 股関節他動ROMテスト(背臥位)

f:id:dogknt:20190901005905j:plain

目的:背臥位での股関節の他動ROMを評価するため

患者の開始姿勢:背臥位

セラピストの開始姿勢:検側に立つ

セラピストの手:頭側の手は骨盤が動かないように検側のASISを母子と示指で把持する。尾側の手は患者の股関節を回旋できるように下から把持する。

動作:他動にて尾側の手を用いて股関節を内外旋させる。この時にend feelと疼痛の再現の有無を確認する。

陽性:ゴニオメーターなどでROMを測定することも可能

Note:しっかりと骨盤を抑えることができれば、end feelなどを感知しやすくなり、股関節ROM評価の質が上がる。

カッパ係数:-

Sensitivity 感度:-%

Specificity 特異度:-%

 

Hip Passive Rotation Range of Motion Test (Prone) 股関節他動ROMテスト(腹臥位)

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目的:腹臥位での股関節の他動ROMを評価するため

患者の開始姿勢:腹臥位、検側の膝関節を90°屈曲させ、反対側の股関節は30°外転させる。

セラピストの開始姿勢:患者の尾側に立つ

セラピストの手:ゴニオメーターを持っている手は内側(外側)の脛骨遠位1/3のところにメーターを当てる。反対側の手は脛骨を支持する。

動作:他動にて股関節を内外旋させ、メーターで測定する。

陽性:ROM測定なので、陽性はなし

Note:骨盤で代償すると、骨盤がベッドから浮き上がるような動きが見られる。股関節内旋35°以上行く場合、腰痛患者に対するマニピュレーションの適応基準の1つとなる。

カッパ係数:-

Sensitivity 感度:76%(股関節内旋が25°以下の場合の変形性関節炎の感度)→股関節捻転テスト参照

Specificity 特異度:61%(同上)

頚部痛に対する鍼灸の効果の持続性について

         「acupuncture howlong」の画像検索結果

 

今回は頚部痛に対する鍼灸の効果の持続性についての論文を読んでみたので、お伝えしたいと思います。

 

 

今回のポイント

慢性の頚部痛に対しては鍼灸が有効であるというエビデンスが多い

治療後3ヶ月を超えると鍼灸の効果は薄いと考えられる

 

 

まずは慢性期の頚部痛に対する論文です。

bmjopen.bmj.com

 

この論文はメタ分析を行った論文で、鍼灸の治療とダミー針を比較したRandomised controlled trials (RCTs)を集めて比較した論文になります。

 

続いて集めた論文の主な研究方法ですが、

被験者は3ヶ月以内に慢性的な頚部痛と診断された患者としています。

内訳は器質的な障害、変形性頚椎症、筋筋膜性頚部痛が含まれています

 

治療方法は通常の鍼灸針治療、電気鍼灸、耳介鍼灸、頭蓋鍼灸が行われ、コントロール群として、ダミー針を用いました。

 

評価方法はVisual Analogue Scale (VAS)もしくはMcGrill(MPQ)質問用紙を用いて評価しています。

 

結果ですが、どの論文においても鍼灸治療によるVASやMPQの有意な減少がみられました

 

筆者は鍼灸の慢性期における頚部痛に対する効果を示唆しております。

 

以上簡単に慢性期の頚部痛に対する鍼灸の効果を研究した論文についてお伝えしました。上記の論文のように頚部痛に限らず、慢性期の疼痛に対しては鍼灸の効果を示唆している論文はすでに多くみられます。

 

しかし、鍼灸の治療効果がどのくらい続くのかが不明瞭であるのが現状です。

そこでもう1つ鍼灸の持続性について調査したものがあるので、お伝えしたいと思います。

 

journals.plos.org

 

この論文もメタ分析の論文で、頚部痛と腰部痛に対する鍼灸の持続性をみた論文になっております。

 

方法ですが、全体で658本の論文を調査し、最終的に75本の論文に絞り込みました。絞り込みの方法ですが、以下の条件にて論文を絞り込みました。

 

  1. ランダム化試験を行っているかどうか

  2. 治療方法は被験者に開示しないで行ったか(どの群かを被験者に知らせない)

  3. 被験者グループは最も重要な予後指標を表すベースラインに類似していたか

  4. 患者は介入に対してブラインドの状態で行ったか(どの治療方法を用いたかを非公開)

  5. 実験者は治療方法に対してブラインドの状態で行ったか

  6. 複数の介入を行なってないか

  7. カウントしなかった被験者の詳細をしっかりと開示しているか

  8. 各論文の結果を評価するタイミングが類似していたか

  9. 介入は治療を見越してのものであるか

  10. 各論文の結果は選択的に選んだものではないか

 

患者は17-90歳の頚部痛もしくは腰部痛を持っている合計11077名の患者です。

その中から急性期(診断後1ヶ月以内)、準急性期(1−3ヶ月後)、準慢性期(3−12ヶ月後)、慢性期(1年以上)の群にわけました。また、介入(治療)後1週間以内、3ヶ月以内、3−12ヶ月以内、12ヶ月以上

 

治療方法は通常の鍼灸、TENS、あん摩マッサージ、カッピング、中国式の運動療法を行っていました。コントロール群としてはダミー針を用いた鍼灸としています。

評価方法はVisual Analogue Scale (VAS)を用いて点数化しています。

 

この記事では鍼灸の部分にのみ焦点を当ててお伝えして行こうと思います。

鍼灸治療はダミー針による鍼灸と比べて急性期の被験者ではMD=-0.58(I2=46.3%)となっています。また、他の論文では準急性期での比較でMD=-0.72となっています。準慢性期以降では両者で差がなかったMD=-0.32(-0.68~0.04)ようです。

 

このことから、急性期と準急世期、つまり治療後3ヶ月以内は鍼灸の効果が持続するが、それを超えると両者に差がなくなってきていることがわかります。

 

ただ、急性期でのばらつきがI2=46.3%を示しており、統計学的なばらつきは認めないものの、そこまで信頼性が高くなく、人によるばらつきが大きいのではないかというのが個人的な意見です。

 

いかがでしたか?
鍼灸治療は遅かれ早かれ、治療の効果は薄まってきてしまうのが現状のようです。そのため、運動療法や習慣の改善など、持続できるものをプラスして鍼灸の効果をより高めることが重要だと思います。

腰部のスペシャルテスト集③

        「lumbar spine」の画像検索結果

 続いて腰部のスペシャルテスト第三弾です。

 

Sacroiliac Joint Posterior Gapping Test / Thigh Thrust Provocation Test 仙腸関節離開テスト/大腿誘発テスト

 

「Sacroiliac Joint Posterior Gapping Test / Thigh Thrust Provocation」の画像検索結果「cluster van der wurff assessment」の画像検索結果

目的:仙腸関節を離開し、疼痛の誘発を確認する

患者の開始姿勢:背臥位で頭を枕に乗せる

セラピストの開始姿勢:セラピストは患者の隣に立つ(検側と反対側)

セラピストの手:【離開テスト】患者に対して尾側の手、特に示指と中指で自分が立っている反対側(検側)のPSISの内側を触知する。頭側の手は、膝を支える。【誘発テスト】離開テストと違い、PSISを触診しない代わりに両手で膝を支える。

動作:【離開テスト】股関節を他動にて90°屈曲させ、そこから内転させる。その時点で反対側の手はしっかりとPSISを触診できているかを確認する。その後股関節をさらに屈曲内転方向に持っていく(反対側の肩に向かって)。この時疼痛の有無と仙腸関節の離開の有無を確認する。(上図)【誘発テスト】股関節の屈曲内転する姿勢は離開テストと同じ。そこから、両手で股関節を大腿骨軸上に圧迫をする。(下図)

陽性:仙腸関節が離開し、仙腸関節での疼痛が誘発できたら陽性

Note:-

カッパ係数:0.88

Sensitivity 感度:36%

Specificity 特異度:50%

 

 

Gaenslen’s Provocation Sacroiliac Joint Test「gaenslen test」の画像検索結果

目的:疼痛を誘発し、仙腸関節の反応性を評価する

患者の開始姿勢:背臥位で頭を枕に乗せる

セラピストの開始姿勢:セラピストは患者の隣に立つ

セラピストの手:検側の膝を支える

動作:片側の股関節を最大限他動にて屈曲させる。この時浮いてくる反対側の下肢は伸ばしたままで抑える。もし患者の股関節屈曲の可動域が大きく、反対側の下肢が浮いて来ない場合はベッドの端に寄り、片側の下肢をベッドから出し、股関節を他動にて伸展する。

陽性:仙腸関節付近に疼痛が誘発したら陽性

Note:疼痛の原因としては同側の仙腸関節、股関節の病変、L4神経根の障害によって生じる。

カッパ係数:0.72

Sensitivity 感度:71-77%

Specificity 特異度:26-50%

 

 

Sacral Thrust Provocation Sacroiliac Joint Test「Sacral Thrust Provocation Sacroiliac Joint Test」の画像検索結果

目的:疼痛を誘発し、仙腸関節の反応性を評価する

患者の開始姿勢:腹臥位で骨盤の下に枕を入れる

セラピストの開始姿勢:セラピストは患者の隣に立つ(どちら側でも良い)

セラピストの手:どちらか一側の手根骨〜手掌で仙骨に起き、もう片方の手で支持する。

動作:置いてある手で、仙骨を尾前方に約10秒かけて押していく

陽性:仙腸関節付近に疼痛が誘発したら陽性

Note:患者の服装によってこのテストの信頼性が大きく変わってくる。

カッパ係数:0.56

Sensitivity 感度:-%

Specificity 特異度:-%

 

 

Flexion, Abduction, and External Rotation (Patrick or FABER) Test パトリックテスト

 

「patrick Test」の画像検索結果

目的:このテストは仙腸関節のモビリティをチェックするためだけでなく、股関節のモビリティも評価する

患者の開始姿勢:背臥位にて非検側の下肢は伸ばしたまま、検側の下肢はあぐらを描くように股関節を屈曲外転外旋させて、非検側の膝に下腿がくるようにする。

セラピストの開始姿勢:患者の隣に立つ

セラピストの手:一側の手は非検側のASISに、もう一側の手は検側の膝内側に当てる

動作:膝に置いてある手で検側の膝を地面方向に押していく

陽性:臀部(仙腸関節付近)またはグローインの部分に疼痛が誘発されれば陽性

Note:左右差で柔軟性の差を比較することが重要である。また、下腿と水平線がなす角度で、検査肢位での外旋角度を測定し、60°以下であれば股関節関節炎の可能性を示唆する(下記の感度、特異度はその率を示す)。

カッパ係数:0.62

Sensitivity 感度:57%

Specificity 特異度:18-71%(論文によって幅が広いため、参考にならない可能性が高い)

 

急性期の足関節捻挫への介入

「ankle sprain」の画像検索結果

 

足関節の捻挫はよくスポーツの現場で起きてしまいます。慢性化しやすい傷害の1つで、中々治療するにも難しいというのが現状です。

病院のスタッフの方や、現場のトレーナーの方で徒手療法や、物理療法を行う方もいるのではないでしょうか?そこで、現時点での急性期の足関節捻挫に対する介入の効果について情報を集めて見ました。

 

まとめ
急性期における運動療法と装具療法は再受傷の予防に対して強いエビデンスが見られた
急性期での超音波は有効とは言えなかった
急性期における手術の効果に対しては議論の余地がある

 

 

 

はじめに

今回ご紹介する論文はこちらです。

bjsm.bmj.com

急性期の足関節捻挫に対する治療方法を評価した論文になっています。この論文はメタ分析を行った論文で、各治療(下記)における効果を評価しています

 

治療の内容ですが、まずは手術をしたか否かで論文がわかれます。手術をしていない群はさらに運動療法徒手療法、物理療法、テーピングや装具療法、鍼灸、薬を行った論文がありました。

 

各治療の評価方法ですが、論文によって異なりますが、基本的には再受傷をしたな否かです。その他にも、疼痛、腫脹、機能などを測定している論文もありました。

 

そして論文のスクリーニングですが、まずは最初に2506本もの論文を査定しました。その中から、46本もの論文に絞り、まとめています。

絞り込んだ条件として、

1)システマティックレビューであり、様々な論文によって構成されていること

2)足関節捻挫もしくはCAIの治療に対して評価をしているもの

3)AMSTER 法を用いた治療に対するバイアスの評価で7点以上

のものを条件としています。

 

それでは各治療方法における結果をお伝えしたいと思います。

 

手術

6つの論文にて評価したところ、これらの論文のいずれも突出した手術の効果は示すものはなく、保存療法との差は明確なものではないことがわかりました。筆者も急性期においては、すぐに手術を行うべきではなく、保存療法をまず行い、症状が長期間続く場合のみ行うべきだと述べています。

 

運動療法

18本の論文を評価したところ、運動療法自己評価による機能が改善したという報告が多く(10本)ありました。また、3つの論文において運動療法によって足関節捻挫の再受傷を予防できたというものでした。筆者も運動療法は再受傷の予防には強いエビデンスがあると述べています。運動療法の種類はバランストレーニングや、PNFトレーニング、神経筋トレーニングなどを行いました。論文によっては徒手療法と組み合わせて行っている論文もありました(そのため論文の合計数が合わないです)。

 

徒手療法

18本の論文を評価したところ、徒手療法が足関節捻挫の再受傷の予防に効果的だとはっきりと明言している論文はなく、筆者もまだ議論の余地があると述べています。というのも、短期間でも効果でいうと、徒手療法直後は足関節背屈のROMが向上しましたが、それが再発予防に関与しているか不明ですし、長期的な効果は得られなかったからです。徒手療法について、*1という論文においても、足関節背屈ROMの向上は短期的に見られるものの、長期的なものは見られないとしています。

 

物理療法

6本の論文を評価したところ、アイシングと圧迫については足関節捻挫の予防また自己評価における機能の改善に対しては効果は見られなかったとしています。また、超音波療法においても効果は見られなかったとのことです。

 

テーピングと装具療法

6つの論文を評価し、6本ともテーピングと装具療法には足関節捻挫の予防、そして自己評価における機能を改善するとしています。

 

鍼灸

3本の論文を評価したところ、鍼灸は足関節捻挫の予防に効果的なものは見られませんでした。

 

3本の論文を評価したところ、薬においても足関節捻挫の予防に効果的とされる論文は見当たりませんでした。

 

 

今の所モビライゼーションやリラクゼーション効果のある治療は再発予防に対してあまり効果的ではないようです。ただ、リハビリ中など、目的に応じて使い分けていく必要があるかもしれないというのが個人的な見解です。

*1:Ishanka Weerasekara el(2018);Clinical Benefits of Joint Mobilization on Ankle Sprains: A Systematic Review and Meta-Analysis

ビタミンKのはたらき

「vitamin K」の画像検索結果

 

ビタミンKとは聞いたことがあるでしょうか?
なかなか日常生活ではあまり聞きませんが、骨や病気の予防に対してとても重要な栄養素の1つなんです。

ここではビタミンKについてお伝えしていきたいと思います。

 

まとめ
・ビタミンKにはK1とK2がある
骨粗鬆症に起因する骨折を予防する効果がある
・肝臓癌の予防、インスリンの機能を改善する効果がある
・K2には心臓血管病のリスクを軽減する効果がある
・1日の摂取目安量は、女性で90μg、男性で120μg

 

 

 

ビタミンKとは

ビタミンKは脂溶性の(fat-soluble)ビタミンで、体内にある多数のタンパク質に対して重要な役割を担っています。具体的にいうと、凝固作用のあるタンパク質Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ、C、Sや、骨芽細胞が分泌するオステオカルシン(骨形成に関わるタンパク質)、matrix-Gla(MGP)(人工タンパク質)などになります。ビタミンKは天然にはビタミンK1(正式名称:フィロキノンphylloquinone)とK2(正式名称:メナキノンmenaquinone、MK4-!0まで存在)が存在します。前者は緑葉野菜、オリーブオイル、大豆油などに含まれています。後者は鶏肉、バター、卵黄、チーズ、発酵した豆(納豆など)などに少量含まれております。両方共、全てのビタミンK依存性タンパク質のγグルタミルのカルボキシル化(carboxylation)に必要になってきます。哺乳類の腸内細菌フローラではビタミンK2を産生できるが、少量であると考えられています。1日の摂取目安量は、女性で90μg、男性で120μgとなっているが、この量では、ビタミンK依存性タンパク質の全てをカルボキシル化するには量が足りません。

 

ビタミンK欠乏症

血液検査に基づいた測定や治療は完璧ではありません。フィロキノンの数値が側近の食事によって変動するからです。低カルボキシル化オステオカルシンの割合もビタミンKの状態を表していますが、これも食事などによって変動してしまうので、慢性的な状態を測定することは難しいです。

不足すると、骨折のリスクが高くなったり、動脈に悪影響を与えます

 

 

ビタミンKと健康

アメリカのUSPSTFはカルシウムやビタミンDの摂取が骨粗鬆症に起因する骨折を予防するエビデンスは十分ではないと主張しています。そのため、更年期の女性などにカルシウムやビタミンDの処方は第1選択にはならないそうです。反対に、最近はビタミンKの骨折予防の効果が注目されています。研究では、ランダム化試験(投与群とコントロール群)にてビタミンK1を5mg/日を440人の閉経後の女性を対象にした研究では50%以上の骨折をした人数が異なったという報告もありますその他にも血管石灰化、肝臓癌(HCC)、インスリン感受性も改善するのではないかという報告も増えてきています。

ビタミンK2を摂取すると、心臓血管の石灰化を遅延させることで心臓血管病のリスクが軽減すると言われております。ただし、ビタミンK1のみでK2がないと効果は期待できないとされています。心臓血管に対してはビタミンK2の方が効果がありそうです。また、ビタミンKは血管の弾性の劣化を遅らせる効果もあります。

γカルボキシグルタミン酸を含んだタンパク質(MGP)とオステオカルシンは抗石灰化と骨合成を調節します。そのため、ビタミンKが不足すると、オステオカルシンの活動(骨合成など)と、骨芽細胞(osteoblast)の働きを阻害してしまいます。

 

いかがでしたか?
少し難しい単語が並びましたが、重要なはたらきがあるんだということを覚えていただければと思います。

 

以下が参考にした論文です。

openheart.bmj.com

腰部のスペシャルテスト集②

          「lumbar spine」の画像検索結果

 続いて腰部のスペシャルテスト第二弾です。

 

Prone Hip Extension Neuromuscular Control Test  腹臥位股関節伸展における神経筋コントロールテスト

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目的:自動での股関節伸展中の腰仙部安定性の強度、コントロールを評価

患者の開始姿勢:腹臥位、下腹部にクッション等を入れ、腰椎が中間位になるようにする。

セラピストの開始姿勢:患者の左右のどちらかに立つ

セラピストの手:腰部の筋を触診する

動作:患者は自動にて片側の股関節をテーブルから8-10インチ挙げる(股関節伸展)。この時、腰椎の中間位を保持しているか、また、同側の大臀筋/ハムストリングス、反対側の多裂筋、同側の多裂筋、反対側の脊柱起立筋、同側の脊柱起立筋の順番に収縮しているかチェックする。

陽性:動作中に疼痛が再現したら陽性。腰椎の中間位が保てない場合もある。

Note:腰仙部の安定性の低下が見られたら、脊柱起立筋が優位であったり、多裂筋が遅れて収縮もしくは収縮が不十分だったりする。また、大臀筋の収縮の遅延もしくは不十分な収縮、股関節伸展の角度不足、骨盤の前面が浮いたり、腰椎が過度に前彎したりする代償動作、腰椎の椎体内の圧の増加はよく見られる。トレーニングにより多裂筋の機能が改善した場合、この疼痛や代償動作は改善される。

このテストにおいて、慢性の腰痛を持っている人は以下の3つのうち1つは当てはまる可能性が高いという報告がある。

1:棘突起が同側に動く(体幹の回旋)

2:腰椎が同側に側方移動する(側屈)

3:腰椎の伸展

カッパ係数:0.72-0.76

Sensitivity 感度:-%

Specificity 特異度:-%

  

Trendelenburg Test  トレンデレンブルグテスト

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目的:片脚立位時の中臀筋の機能に着目した、股関節、骨盤、体幹の神経筋コントロールを評価

患者の開始姿勢:立位

セラピストの開始姿勢:患者の後方に立つ

セラピストの手:触診は不要

動作:検側と反対側の股関節を30°屈曲する。この時、腸骨稜と地面に対して垂直な線がなす角度を観察する。

陽性:片側の下肢を挙上した時に検側と反対側の骨盤が挙上もしくは高さが変わらず、その姿勢を30秒間保持できたら正常。保持できない、もしくは検側と反対側の骨盤が大きく下制したり、立脚側の股関節が大きく内転したら陽性。

Note:-

カッパ係数:-

Sensitivity 感度:-%

Specificity 特異度:-%

 

Hip Abductor Neuromuscular Control Test  股関節外転テスト

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目的:股関節外転の筋力、収縮パターン、コントロール、腰仙部の安定性を評価

患者の開始姿勢:検側を上にした側臥位になり、下の股・膝関節は30°屈曲、上の下肢は体幹と一直線になる

セラピストの開始姿勢:患者の後方に立つ

セラピストの手:(負荷をかける時)患者から見て尾側の手を下腿遠位に置く

動作:上の下肢を体幹と一直線にしたままテーブルから24インチ挙上する。この際挙上する下肢が体幹との一直線を保ったまま挙上できるかを観察する。

陽性:挙上する際、挙上位で保持できなかったり、同側の股関節が屈曲すると陽性。

Note:このテストで陽性の場合は、中臀筋の筋力低下もしくは大腿筋膜張筋優位、腸脛靭帯のタイトネスが考えられる。中臀筋の筋力テストを行いたい場合は、股関節を35°外転、10°伸展、10°外旋位で徒手にて抵抗をかける。

カッパ係数:-

Sensitivity 感度:72%

Specificity 特異度:46% ※これらの割合は中臀筋損傷に対して

 

Gillet Marching Test  ギレットマーチングテスト

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目的:仙腸関節の可動性(mobility)を評価

患者の開始姿勢:立位もしくはベッド上に座位(足は浮かせる)

セラピストの開始姿勢:患者の後ろで膝立ちもしくは低い椅子に座位、この時セラピストの目線は患者のPSISに来るように

セラピストの手:片方の母指を検側のPSIS、もう片方をS1に置く

動作:患者は自動にて検側の股関節をできるだけ屈曲する。この時検側のPSISが股関節屈曲にしたがって尾側に移動するかを観察。

動作(別法):両母指を両PSISに置き、片方ずつ股関節を屈曲してもらい、PSISの移動量を左右で比較する。

陽性:股関節屈曲の際、PSISが尾側に移動しなければ陽性

Note:評価する際、まず患者が片脚立位を維持できるバランス能力があるかを評価する(トレンデレンブルグなど)。もしバランスを保つことができなければベッドなどに座り行う。

カッパ係数:0.59

Sensitivity 感度:43%

Specificity 特異度:68% ※腰痛(仙腸関節に麻薬ブロックを使用している患者)に関して

  

Distraction Provocation (Anterior Superior Iliac Spine Gap) Sacroiliac Joint Test  ASIS離開テストf:id:dogknt:20190716035637p:plain

目的:仙腸関節の反応のレベル(緩さなど)の評価

患者の開始姿勢:背臥位

セラピストの開始姿勢:患者の左右のどちらか

セラピストの手:腕をクロスして、手掌で患者の両ASISに置く

動作:ASISを後外方に約10秒間かけて徐々に強く推していく。もしこの状態で疼痛がなければ、エンドポイントで軽い負荷をかける。

陽性:仙腸関節や恥骨結合のあたりに疼痛が誘発したら陽性

Note:-

カッパ係数:0.69

Sensitivity 感度:-%

Specificity 特異度:-%

 

Anterior Superior Iliac Spine Compression Provocation Sacroiliac Joint Test  ASIS圧迫テスト

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目的:仙腸関節痛を誘発し、仙腸関節の反応性を評価するため

患者の開始姿勢:背臥位で頭を枕に乗せる

セラピストの開始姿勢:患者の横に立つ

セラピストの手:両手で両ASISを抑える。このとき、手掌がASISを包むようにする。

動作:抑えてある両手で、ASISを徐々に真ん中に向かって推していく。目安として、10秒かけて徐々に強く推していく。このときに疼痛が誘発されなければ、最終ポイントのところでやや衝撃を与え、再度疼痛が誘発されるか確認する。

陽性:このとき仙腸関節痛が誘発されれば陽性。ただし、推しているところが痛む場合は陽性ではない。

Note:このテストの別法(下図)として、患者が側臥位した状態で側方よりASISを圧迫して評価することも可能。

カッパ係数:0.73

Sensitivity 感度:70%

Specificity 特異度:90%

 

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